えっちなおくすり 僕にとって至福の時間。それは相棒であり恋人のアーロンと一緒にソファでテレビを観ながら、お気に入りのチョコレートを頬張ること。
「ずいぶん機嫌がよさそうだな、ドギー」
「へへっ、今日は僕の好きな歴史番組がチョコレートの歴史特集をするんだ」
歴史ロマンスと愛するチョコレートのコラボレーション。楽しみすぎてリアルタイムで視聴するにも関わらず録画までしている。暗記するまで何回でも観るぞ。おっ、軽快なオープニングの音楽が流れてきた。今日はどんな番組構成かな。
『今日の特集はあま〜いチョコレート! チョコレートの歴史は時代は古く媚薬として使われた時代も……』
びやく……? それってあの媚薬? 服用するとエッチな気分になる……ヤツだよな……
僕が今食べている物はなんだい。正解はチョコレート!
チョコレート=媚薬ということは……
「おーいドギー、どうした。宇宙犬になってんぞ」
アーロンが僕の顔を覗き込んでいる。今の僕、背後に宇宙を背負っているのかい。そういう君もたまに背後に宇宙を背負っているスペースキャットになってるよ、キティ。
「聞いてんのか、ドギー」
アーロンは僕のほっぺをつまみフニフニと動かしている。待ってくれ、突然の情報に処理落ちしそうなんだ。咀嚼する時間をくれないか。
返事のない僕に痺れを切らしたのかアーロンは僕の耳元で
「媚薬はうまいか。すけべドギー」
と情感たっぷりに囁いてきた。
「き、君は……何を…! 」
「ごまかせてねえよ。テレビの言葉、間に受けてんだろ」
なんでわかっちゃうんだよぉ。そうです。意識してます。気を抜くとエッチなこと考えてしまうのもチョコレートの仕業だったのかな!? アーロンよりも性欲旺盛なのもチョコレートばっかり食べているからなのかな。正直……心当たりが多過ぎてテレビの言葉を間に受けてしまっている。
「テレビの言っているコト……嘘じゃないと……思う」
目を泳がせドギマギしながら返事をするとアーロンはフッと笑い、僕の下肢に手を伸ばし
「こんなに勃ってるもんなぁ」
と僕の息子を刺激してくる。
「……ンッ…ぁ」
触り方が絶妙で今にも暴発しそう。やめてくれぇ、今の僕を刺激しないでぇ……
「ドギーはチョコレート好きか」
「う、うん」
アーロンってば、なんだって改まってそんな質問を。
「ドギーはえっちなおすくりが大好きなのかぁ」
アーロンはニヤニヤしながら僕を揶揄ってきている。待ってくれ、『えっちなおくすり』って言い方をする君の方が何倍もエッチだからな。自分のエッチさ加減ちゃんとわかっているかい。
「くすりの効き具合はどうだ、ドギィー」
ンァァァァァ……!!! 僕の相棒、めちゃくちゃエッチ!!!
首を傾げならいたずらっ子っぽく聞いてくるなんて反則だよ。
今すぐ僕を抱いてくれ。今夜は君にめちゃくちゃにされたい気分だ。
「くすり…… 効いてきたみたい」
ソファに寝転がり腹を見せ、服従の姿勢をとるとアーロンの口角が弧を描く。
「そうかよ。俺にも寄越せや」
アーロンは僕に口付けをすると、厚い舌で口内を弄る。
いつもは理性の塊のアーロンをここまでノリ気にさせるなんて、チョコレートはやっぱり凄いや!