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    サントス

    本能のままにザカザカ描いた絵や漫画を置く予定です。

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    サントス

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    (最初縦書きにしましたが横に直しました。)人生初の二次小説。一年ろ組の四人が日陰ぼっこをする話です。夏が始まる前に書いて放置していたのをいまさら完成させました。

    #忍たま

    日陰ぼっこのススメほんの数日前まで当たり前だった、どんよりした空模様や肌寒さはどこへやら、空には燦々と輝く太陽に、入道雲も現れ、まさに夏本番という景色が広がっていた。

    日差しが降り注ぐ放課後の、忍術学園校庭は、次々と駆け出してくる忍たまたちで、賑わい始めた。
    その様子を校舎の窓から眺めつつ、一人の少年が、同じく教室に残った三人の友人たちに声をかける。

    「今日は何する?」
    「「「いつものあれが良いな……」」」

    三人は、声を揃えて即答した。

    「そうだね。じゃあ、行こうか……」

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    「今日はここが良い感じかな。」
    「"日陰ぼっこ"はじめよう……。」

    広い校庭の片隅には、太陽の角度と建物や植木の配置によって、日陰になる場所が点在している。
    その一角に座り込んでじっとしていることを、彼らは「日陰ぼっこ」と称して、昼休みや放課後の楽しみにしていた。

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    単に日陰でじっとしているだけの、この「日陰ぼっこ」
    一見ただぼーっとしているだけだが、じつは小さな声で会話をしたり、周りを観察したり、思索を深めたりしているのである。

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    そんな中、二人の少年が足を止めて茂みの中の四人に声をかける。

    「なんだ、また"日陰ぼっこ"か」
    「暇でいいな、ろ組は」

    一年い組の、伝七と左吉だ。
    しかし、四人は動じなかった。

    「暇なんかしてないよぉ。」
    「そうだよ。こうやって静かに精神統一してると……」
    「実戦に強くなる……。」
    「そうそう……。」

    それを聞いた伝七と左吉は……

    「な、なんだよそれ!」
    「そんなことで強くなるのか」

    平静を装うが、明らかに動揺している。
    自分たちが実戦に弱く、一年ろ組が意外にそれに強いことに薄々気づいているためだ。

    「り、理解できないな。」
    「行くぞ、伝七……」

    そそくさと早足で、その場を離れていく二人の胸はざわめいていた。

    ((なんだろう……妙に説得力があるような……。))

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    今度は、くノ一教室のユキ、トモミ、シゲ……仲良し三人娘が通りかかった。

    「今度の夏休み、皆で海にいくの楽しみだわ〜」
    「今日みたいな天気だと最高よね」
    「何をするか、今から決めましょう……砂浜で綺麗な貝殻を探すのはどうでしゅか」
    「良いけど、ちょっと地味じゃないやっぱりビーチバレーよね」
    「"天サロ"しない?小麦色のお肌……憧れるわぁ」

    「「「「うわぁ……」」」」

    茂みでそれを聞いていた一年ろ組の四人は、思わず心の声を出してしまう。
    小さな声だったが、盛り上がっている彼女たちに水をさすには十分だった。
    腹を立てたユキが、四人を睨みながら迫る。

    「ちょっと貴方達、何か問題でも」
    「い、いや別に。ボク達には、そういうの縁がないな……と思っただけです……」

    伏木蔵は、四人を代表して弁解した。

    「貴方達だって、やりたいなら、やればいいじゃない」

    そうトモミが提案するが、四人は顔を見合わせる。

    「ぼく達、そういうキラキラしたのは、ちょっと……。」
    「それに……」
    「……あまり日に当たるのは、お肌に良くないらしいんですよ。」

    「え?そうなの?」
    「言われてみれば、貴方達……」
    「お肌、綺麗でしゅ」

    思わぬ発見に、ユキ達は日陰に座り込む四人をしげしげと見つめた。
    伏木蔵の頬は白玉のようにもちもちしており、孫次郎のそれは、思わず触りたくなる瑞々しい白桃を思わせ、少し青ざめた平太の顔には水晶のような透明感がある。怪士丸も、輪郭は骨ばってはいるが、その肌の白さは高級な陶器の如き気品を感じさせた。

    (((私達も、日陰に居たほうが良いのかも……)))

    先程まで、三人が思い描いていた夏の海辺の風景に、薄く雲がかかり始めるのであった。

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    くノ一三人組が去っていったのもつかの間……またしても、一年ろ組の四人とは対象的な、キラキラした雰囲気を纏った人物が現れた。
    四年生の平滝夜叉丸だ。

    「嗚呼……じつに、いい天気だ。それでこそ、この私の美しさにますます磨きがかかるというものだな」

    どうやら、まだ、茂みにいる四人には気付いていないようだ。

    四人はそっと息をひそめて様子を見ていることにした。

    滝夜叉丸は、日の光を浴びてキラキラと輝いている自分を想像しているのか、満足げに様々なポーズをとっている。
    しかし髪をかき上げる仕草をしたところで、彼の動きが止まった。

    「な……なんということだ」

    顔の両側の髪の毛を手で掴み、何度も見直すと……

    「この私の……サラサラストレートヘアーが傷んでカサカサだと」

    絶望の表情で立ち尽くす彼の背後に、同じく四年生の斉藤タカ丸がスッと現れた。

    「個人差があるけど……日光に当たりすぎると髪の毛が痛むことがあるんだよ。気を付けてね。」

    「なんだって!?ど、どうすればいいんだ」

    滝夜叉丸は反射的に日陰に入ろうと辺りを見回すと、四人のいる茂みに近づこうとした。

    「えっ滝夜叉丸先輩がこっちに」
    「ぼくたちが"見てた"ってバレたら……ひぃぃ‼」
    「しっ……今逃げたら見つかるよ‼気配消してやり過ごそう……」
    「う、うん……」

    四人が、固唾を飲んでじっとしていると、タカ丸が口を開いた。

    「ダメだよ!そうなっちゃったら、もう遅いよ。」

    「え。」
    滝夜叉丸は、目を点にして固まってしまった。

    「取りあえず……トリートメントしてあげるから、さ、こっち来て……」
    「あ、ああ……頼む……。」

    滝夜叉丸を連れて去っていくタカ丸。
    数歩歩いたところで少し振り返って、四人の隠れた茂みの方を見てそっと微笑んだ……ように見えた。

    「「「「た、助かった……」」」」
    四人は、小さくため息をついた。

    その後、四人の"日陰ぼっこ"は、太陽の位置が変わり西日が差しこんでくる夕方になるまで続いた。

    ----------------------

    翌日の放課後……

    伏木蔵が、教室に残った平太、怪士丸、孫次郎に声をかける。

    「今日は何する?」
    「「「いつものあれが良いな……」」」

    三人は、声を揃えて即答した。

    「そうだね。じゃあ、行こうか……」

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    「今日もここが良い感じかな。」
    「"日陰ぼっこ"はじめよう……って、あれ」

    昨日日陰ぼっこをしていた茂みをかき分けると……

    「伝七に左吉……」
    「くノ一教室の……お三方……」
    「滝夜叉丸先輩まで」

    「今まで馬鹿にしてたけど……」
    「日陰ぼっこっていうのも、なかなかだな。」

    「そうよね、涼しいし……」
    「たまにはこういうのもいいわ。」
    「教えてくれてありがとう、でしゅ。」

    「たとえ日陰にいたとしても私の輝きは損なわれることが無いのだ!!」

    意外な"先客"たちが所狭しとうずくまっている様子を見て四人は思わず叫んだ。

    「「「「僕たちの場所が~!!!」」」」
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