ふたりごはん。「うぅっ、寒い……。早く署に帰って暖まろう……。」
町の巡回を終えたアレスは、真っ白な雪道を踏んで歩き、真冬の鋭い冷気に体を震わせた。
ひとり言と共に吐いた息は寒空へと消えていく。
雑貨屋の前を通り過ぎようとした時、ガチャりと音を立てて、店の扉が開いた。
中から出てきた人物に視線を向け、アレスはあっ、と声をあげる。
「ん? アレスどのか。」
「ラインハルトさんこんにちは。」
辺りの雪景色の明るさを受けて白く浮き立つラインハルトの鎧は、いつもよりも一際眩しくアレスの瞳に映り込む。
「このような日にも見回りとは大変だろう。」
「えぇ。でも、それもさっき終わって帰っているところでした。ラインハルトさんは買い物帰りですか?」
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