未来 がちゃり。
ドアが開く音を聞いて、グレイはソファの上で身を固くした。向かいに座るアッシュも臨戦態勢に入ったのが伝わってくる。
のんびりと顔を上げたのは謎の男だけで、ちらりと時計を見上げてからドアに視線を向けて表情を緩めた。
男が救急箱の蓋を閉めるのとタイミングを同じくして、一人の男が姿を現す。
その顔を見て、グレイは小さく息を呑んだ。なんとなく覚悟をしていたとはいえ、こうして目の当たりにするとやはり驚いてしまう。
短い灰色の髪。制服は見慣れたデザインと色で、胸元のバッジの星の数だけ違う。夕焼け色の瞳は鋭く、その視線が向けられる前にグレイはさっと顔を伏せた。
「アッシュ、おかえりなさい」
「おう。……おい、なんだ、そいつらは」
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