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    水鳥の

    箱です。

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    水鳥の

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    佐鳥と嵐山。
    捏造いっぱい、佐鳥凄いぞ話。
    佐鳥の感覚は黒トリガー並みだと勝手に思っています。

    #佐鳥賢
    kenSatori
    #嵐山准
    arashiyamaJun

    感覚派狙撃手:佐鳥賢 界境防衛機関ボーダーの広報部隊に選ばれたのは、嵐山准率いる嵐山隊だ。その一員に勧誘されたのはたった二人しかいない狙撃手――佐鳥賢だった。



     佐鳥賢にとって、ボーダーの顔は嵐山准だ。そんな嵐山に憧れ、ボーダーに入隊を決めた。だが、佐鳥の意識を奪ったのは東春秋の射撃だった。心奪われたと思っていい、その時の佐鳥はもう他の武器には目もくれなかった。――狙撃手(スナイパー)。

     静寂の中、スコープを覗き込むことでしか捕らえられない目標。それを、――打ち抜く。佐鳥賢はその瞬間が何よりも好きだ。一発の銃声が全ての戦況を支配するその快楽。自然と目が笑ってしまう。
    「佐鳥、巧くなったじゃないか」
    「あ、嵐山さん」
     的を当て微笑む佐鳥に声をかけたのは、ボーダーの顔・嵐山だった。嵐山は地味だと煙たがられた狙撃手を選んだ佐鳥を何かと気にかけてくれている。
    「えへへ、でも、何か物足りないんですよね」
     頬を右の人差し指で掻く佐鳥。
    「派手さか?」
     嵐山はそう聞いた。何故なら、狙撃手は地味なものだと東が言うのだが、佐鳥は「それは勿体無い」と零していたのを思い出したからだ。
    「それも、そうなんですが、威力ですかね?」
    「威力?」
     嵐山は佐鳥の言葉に驚く。
    「まぁ、今のままでもいいとは思いますが、何というか陽動ぐらいじゃないですか。もう少し威力があれば仕留められるのにって」
     思うんですけどね~、と佐鳥はイーグレットを見ながら話す。
    「東さんにはその事話したのか?」
    「あ~、あいさつはするんですけど、こういう話なんか出来なくて」
    「出来ない?」
     嵐山には意外だった。他の隊員からも慕われる東をそんな風に言うとは。
    「なんか、感覚が違うというか。こう、東さんの言ってる事はわかるんですが、おれにはそれが当てはまらないというか」
    「当てはまらない……」
    「おれ、感覚が凄く敏感というか、感が良すぎるというか。目視しなくても敵いるなって感じの所にここだなって思って打つと普段より当てやすいというか……?」
    「は?」
     嵐山は佐鳥の言葉に何度目かの驚愕を覚えた。――目標を視認しないで粗撃が当たる?
    「いや、基礎練習はしてますよ? してるんですけど、何というかスコープ覗きながらよりも当たりやすいなって」
    「SEか?」
    「いえ、ボーダーの身体検査受けましたけどそんなの見つかってません」
     佐鳥は「あははは」と笑って、右手でイーグレットを構えて見せる。その構えはゲームの射的を思い出させる。
    「見ててください」
     標的がランダムに出現するステージ。今、佐鳥がやっている訓練は射的ゲームのような構えで当てる事が出来るようなものじゃない。
    『スタート』
     訓練室に、女性に似せた機械の音が響く。――バンッ。黒い標的が倒れた。
     ――俺は、何を、見せられた?
     嵐山は信じられないモノを見た気がした。当たり前だ。遊びで出来る距離じゃない。距離、百五十メーター。――バンッ。次の標的が倒れる。距離、二百メーター。――バンッ。また、標的が倒れる。距離、三百メーター。――バンッ、バンッ、バンッ……。
     次々と倒れる標的に嵐山は圧倒された。体幹を崩すことなく撃つ佐鳥。計二十五発。内、二十一発が完全に中央を打ち抜いた。残り四発は標的の端を撃っている。
    『命中率、八十四パーセント』
     標的に当てることは、ある意味、標的を認識していると言う事だ。その難しさを嵐山は十分に理解している。だから、万能手でありながら射手でなく銃手を選んだのだ。そちらの方が設定や何やらを除いて標的に攻撃を当てやすいから。なのに、佐鳥賢≪こいつ≫は――。
    「あっ! 嵐山さん! これも見てってくださいよ!」
     佐鳥は自分の凄さを理解してないのか、子供が何かを出来るようになったのを褒めて貰いたいような表情で、嵐山に言う。
    「こ、これ?」
    「はい! 今練習中なんですけど――」

     この時、嵐山は佐鳥の可能性を見た。佐鳥賢がボーダーの広報部隊に必要だと。そんな凄さを、佐鳥は嵐山に証明して見せた。
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    MOURNING初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
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    『オサム』
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