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    Lienz

    @Snakehead2819

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    相互フォロして頂いている方に約束していた父の日の話です。

    #バディミッションBOND
    buddyMissionBond
    #ルーク
    rook
    #エドワード
    edward.

    Father's Day

    [最初の試み]
     ルークがエドワードに引き取られてからほぼ一年経った。いつも笑みを浮かべ暖かく見守ってくれる義父のことを、ルークは尊敬していたし憧れてもいた。もちろん、エドワードだってずっと笑っているわけではない。ルークが危ないことをしたときなどは叱りもする。けれど施設の人達のように冷たく突き放すような言い方ではなく、ルークの身を案じて心配しているのだと分かる言い方をした。今回もそうだった。
    「ルーク、危ないから一人で台所に入ってはいけないと、そう教えただろう?」
     いつもの朗らかの笑みではなく、眉を寄せた真剣な顔でエドワードは言った。少し目線を落としているルークの肩に手を添え、その目をじっと見つめる。ルークはおずおずと父を見、そして小さな声で言った。
    「……ごめんなさい」
     するとエドワードはふっと表情を和らげて、肩を落として明らかにしょげている息子の頭を片手でくしゃりと撫ぜた。穏やかな父の表情に、ルークは目を見開いた。さすがに今回はもっと怒られると思っていたのだ。
    「たしかに、言いつけを守らなかったのは良くないことだ。でもルークがむやみに約束を破るようなことはしないって、知ってるからな。何か理由があったんだろう?」
     ちらりと後ろの惨状を見てエドワードが言う。そこにはルークが取り出そうとしてひっくり返したフライパンやら鍋やらが床に散乱していた。そう、ここはエドワードの家であり、ルークの家でもある一軒家の台所であり、いつもはそれなりに片付いている場所でもあった。エドワードが再びルークに向き直り、目で優しく促すと、ルークはとうとう理由を答えた。
    「今日は父の日だから、父さんにご飯を作ってあげたかったんだ」
     その答えに、エドワードは一瞬目を丸くした。そして思わずといった様子で笑った。
    「父の日だから、か。そいつは思ってもみなかった理由だな」
     ルークはエドワードの様子にふっきれたのか、堰を切ったかのように言葉を続けた。
    「いつも帰ってきてから父さんにご飯を作ってもらってばかりだから、僕が作ったら父さんが楽になると思ったんだ。父さんも喜んでくれるかなって……」
     ルークは父を喜ばせるどころか負担を増やした現状を思い出し、最後の方は尻すぼみになってしまった。またもや気落ちしているルークに、エドワードは苦笑を浮かべつつも言った。
    「ルーク、父さんはその気持ちだけで十分嬉しいよ」
    「でも、父さん仕事で忙しいのに夕食まで作って……。僕が、無理させてるんじゃないかって」
    「ルーク」
     どんどん悪い方へと思考する息子を制止するように、エドワードは名前を呼んだ。ルークの目にはいつの間にか涙がにじんでいる。ルークの目を真正面から優しく見つめて、エドワードは言った。
    「ルーク、俺は無理なんかしてないし、ルークに食べてもらいたいから作っているんだよ」
    「……どうして?」
    「ルークはすごく美味しそうに食べてくれるだろう? だから俺も作るのが楽しいし、また作ってやりたいと思う。でもルークが作ってほしくないというのなら、どうするか考えなきゃいけないな。そっか、父さんの飯は嫌だったか……」
     いかにも悲しげな顔で腕組みをして考え始めたエドワードに、ルークは慌てて言った。
    「──作ってほしくないなんて思ってないよ! それに嫌だなんて絶対思わない!」
    「じゃあ、これからも父さんが夕食を作っていいか?」
    「当たり前だよ! って、あれ……?」
    「言ったな。じゃあこれまで通り、父さんの手伝いをしてくれよ? 一人より二人で料理する方が絶対楽しいからな」
     片目をつぶって見せるエドワードに、ルークは自分が上手く誘導されたことに気づいた。それに対しルークはふくれっ面をして見せるものの、それも長くは続かない。ルークは先ほどまでの暗い気分などなかったかのように笑い、それを見たエドワードも声を上げて笑った。そしてエドワードは今まで目線を合わせるためにしゃがんでいた床から立ち上がり、ルークに手を差し出す。ルークはその手を掴んだ。もう涙は乾いていた。
    「それじゃまずは料理器具片付けないとな。手伝ってくれるか?」
    「もちろん。散らかしちゃったの僕なんだし……」
    「それはもう言いっこなしだ。一緒に片付ければすぐに終わるさ。そしたら夕飯作ろうな」
    「──うん!」
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    みかん女

    SPOILERifの妄想の産物、ネタバレだし書きかけだし、でもBOND二周年の祝いしたくて先週から書き始めたけど、間に合わなかった。暇な時に書き上げよう。
    ある少年と幻想と呼ばれる男性がもし出会っていたら?です。少年は研究所に拾われるまでの間幻想の男性を保護していたとしたらっという妄想が結構前から浮かんでいたので……。
    ハスマリーの研究所に保護される前までのある少年と名の無い兵士それはいつもこように地雷原を避けて小さな子達にお腹一杯に食べてもらえるようにシナリー区から隣町まで行って、食料を貰い帰る途中で大きな爆発音と大きな風が自分自身を駆け抜けた。その時嫌な予感がして荷物を抱きしめ、孤児院があった方に走ると嫌でも自分には分かる、何故ならそこは元々自分が居た孤児院だからだ、大きな煙が空に上がっている、院長先生や他の子たちがどうなったのかは、おれには分からない、けどこのハスマリーに産まれ孤児として育っていた自分には理解できてしまう、けど理解できたとして子どもの精神力が保つ訳がない、だから無事を信じて荷物を抱きしめ再び隣町まで戻った。

    (これからどうしよう……)

    自分自身には頼れる大人などいない、ハスマリーに産まれた孤児はこれを運命と思うしかないのだ、おれはそれすらも理解出来るほど大人ではなかった。
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