[准牧] まぷまのしるし ~デザイナー&モデルAU「なぁ、ここへ来る途中でいいもの見たぞ」
オフィスに入ってくるなり、プレストンは部屋の隅のコーヒーマシンでコーヒーを入れる。マンデルのオフィスはすでに、自宅のように勝手知ったる場所となっていた。マンデルももう咎めようとはしない。
「街を歩いてる若いカップルが全身ペアルックしてたんだ。意外と珍しくないか?」
手元に目を落としたままのマンデルから返事は返って来ない。
「可愛いよな。付き合いたてかねぇ。カップルのしるしのつもりなんだろうなぁ」
プレストンがソファにどかっと我が物顔で座ると、マンデルはちらりと見上げた。
「そういうものなのか?」
「さぁ、俺はやったことないから」とプレストンが肩をすくめると、マンデルはゆっくりと椅子に背を預け、考えるように顎に手をやった。
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