答え合わせは貴方の部屋で 晶は一人で夜の散歩をしていた。
散歩といっても、魔法舎から出るわけではなく、中庭を歩いて少し夜風に当たろうとしたのだ。近頃日中は日差しが強く暑くなってきたのだが、夜になると外気がひんやりとして肌寒い。昼日中忙しく任務に追われていると、夜半まで目が冴えて眠れないときがある。この日はまさにそんな夜だった。
「こんばんは、賢者様」
「ぅわっ……こんばんは、ミスラ」
不意に声を掛けられて晶はびくりと声の方へ振り返った。ぬう、と夜の闇から溶け出るように現れたミスラはずぶ濡れだった。
「ミスラ!? 大丈夫ですか、びしょびしょじゃないですか」
「ああ……風呂に入ったら暑かったので。水浴びしてました」
ポタポタと石畳に水滴を垂らしながらミスラは晶の方へ歩み寄った。
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