Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ノダヌキ

    @Prnia5

    @Prnia5 で生息中。
    忍たまに再燃。六年生推し。
    文字書きしてます。メインは留文。
    基本的にCPの地雷がない雑食。

    タイトルの★マークがある作品は
    Pixivにも投稿済みです。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji ™ 💖 🔨 🍙
    POIPOI 84

    ノダヌキ

    ☆quiet follow

    忍🥚留文ネタ。
    少し前にツイートした、髪の毛を結い合う話。

    「あー眠てえ…」
    まだ朝日が昇る前のこと。
    少しずつ白んできた東の空を窓から眺めながら、何度も繰り返すあくびを噛み殺しながら留三郎は自分の布団をたたんで押入れの中に片付けた。
    今日は朝から二・三年生の実習で使う忍具の点検を行わなければならない。
    眠い目を擦りながら障子を開くと、隣のろ組部屋から制服である六年の忍装束に着替えた小平太が出てきた所だった。
    「お!おはよう、留三郎!今日は随分と早起きだな!」
    「おはよう、小平太。そういうお前も早いな。鍛錬にでも行くのか?」
    「いや。私は先生方と二・三年生の実習ルートの下見に行ってくる!体育委員会でコースを何本か選んだんだが、一昨日の大雨で土砂崩れなんかがあると危険だからな」
    「なるほどな。俺はその実習で使う忍具の手入れだよ。お互い、しばらくの間は委員会で忙しくなりそうだな」
    留三郎の言葉に「確かに!」と笑って返事をしながら、小平太は正門に向かっていった。
    「下見すんなら気をつけろよー」
    「わかった!行ってくる!」
    ブンブンと手を振る小平太に軽く手を振り返して見送り、留三郎は手拭いと櫛を片手に身支度をするため井戸に向かった。
    井戸のそばに人影が見えた。
    薄暗い中で目を凝らして見てみると文次郎が井戸から汲んだ水で顔を洗っていた。
    耳にかけた文次郎の髪の毛が洗顔のため下を向いたからか、はらりと垂れ落ちた。
    このままでは濡れてしまうと思い、留三郎は側まで近寄ると髪の毛を耳にかけてやった。
    顔を上げた文次郎が驚いた様子で留三郎を見た。
    「すまん……今日は珍しく早起きだな」
    先ほどの小平太と同じ言葉を文次郎に投げかけられ、留三郎は思わず笑ってしまった。
    そして歯を磨きながら小平太の時と同じように説明してやると「なるほどな」と言って、文次郎は釣瓶桶を井戸に投げ入れた。
    「そういうお前は鍛錬帰りか?それとも今から向かうのか?」
    「後者だ。昨日は委員会活動で夜に鍛錬に行けなかった」
    「ふーん…」
    文次郎が歯を磨く準備をしながら答えるのを横目に留三郎も顔を洗った。
    持参した手拭いで顔を拭きながら、少しずつ日が昇ってきた事で、緩く寝癖がついて髪の毛のはねた文次郎の毛先が目に入る。
    「なぁ、髪の毛梳いても良いか?」
    毛先に触れながら留三郎が訊ねると文次郎は「勝手にしろ」とだけ言って留三郎に背中を向けた。
    許可も出た事だしと留三郎は櫛を取り出して文次郎の頭皮に少しだけ当たるように髪に櫛を通した。
    しっかりと芯のある髪の毛は櫛を通せば通すほど、サラサラと引っかかり無く解れていく。
    「髷まで結うから紙紐寄越せ」
    そう言いながら髪を後頭部の高いところに束ねている時だった。
    ふと、うなじと髪の毛の生え際の辺りに薄くなった赤い跡が目に映った。
    それは数日前に留三郎が文次郎を抱いた時に、こっそりと残した独占欲の表れだった。
    頭巾で隠れるし、髪を下ろせば誰からも見えないからと勝手につけた跡が、だいぶ薄くなっているようだった。
    留三郎はその跡を見ながら文次郎の髷を丁寧に結い上げると結び目をきつくきつく結んだ。
    「おい。きつく縛り過ぎだ、少し緩め……ひっ⁉︎」
    到底1人では解けないくらいに固く縛ると、文次郎が抗議の声を上げたが、そんな言葉を無視して留三郎は背を向ける文次郎を抱き寄せ、薄くなった跡に舌を這わせて吸い付いた。
    そこから花びらを散らすように首筋などに吸い付き、数ヶ所に独占欲の跡をつける。
    「っん、お前…何して……!」
    腕の中で時折、体を震わせながら文次郎が聞いてくる。
    留三郎は耳元に唇を寄せて、吐息を当てるようにしながら囁いた。
    「…これだけきつく結んだら1人で解けないだろ?跡も見られたくなかったら、今夜は俺のところに来い」
    ちょうど頭巾を結ぶ時に首が布で覆われる部分に跡を散らした留三郎は楽しげに声をかける。
    「お前…っ!わざとか⁉︎」
    勢いよく振り返った文次郎にニヤリと笑いながら、留三郎は手にしている櫛を押し付けるように渡した。
    「お前のは結い終わったし、次は俺のをしてくれよ。さっさとしないと人が来るから、ソレ見られるぞ?」
    何かを言いたそうな文次郎を無視して、首筋を指差してから背中を向けると頭に櫛が当たる。
    渋々といった様子で髪を梳かす文次郎に留三郎は思わず笑いそうになるのを堪えた。
    自分でやるよりも少し雑だが留三郎の髷が結われる。
    「……出来たぞ」
    その言葉に振り返ろうとすると首筋に痛みが走る。
    文次郎が留三郎の首筋に噛みついたのだ。
    「いってぇ⁉︎」
    「ふん。好き勝手した罰だ、お前も誰かに見られる前にさっさと着替えた方が良いんじゃないか?」
    首筋を抑えながら振り返ると文次郎が不敵に笑っていた。
    留三郎は自分の口角が上がるのを感じながら唇を重ねようと顔を近づけた。

    その日の夜、文次郎が留三郎の元を訪ねたかは雨雲に隠れた月だけが知っている。

    end.
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💯👏💖💖💖💖💯💯👏👏👏👏👏💖💖💖💖💯💯💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator