いつかまた陽は巡る(呪i胎九相i図)哀しいほどに赤い夕焼けだった。
橙色に染まった海から吹き上げる潮風が、防波堤の上を駆け抜けていく。
私は隣に置いた色鉛筆の箱が飛ばない様に軽く手で抑え、段差の下に垂らした脚をぬるい風が押すままにぶらぶらと揺らす。
強い風に目を覚ましてしまったのではと、隣で眠る弟の顔を覗き見る。弟は口をもごもごとさせているものの、コンクリートの上に横になり実に気持ちのよさそうに眠っていた。手に握っていた綺麗な貝殻がころりと転がる。今日はずいぶんと元気に遊んでいたからきっと疲れているのだろう。
愛しい弟の寝顔と髪を撫でる潮風と腰下のあたたかなコンクリートが心地よくて、ゆっくりと深呼吸をすると心臓の音がとくとくと聞こえた。
夕日がきらりと目に入る。
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