🎪うそつきたちの約束は学校帰り、ボーダーへと向かう道。
「三十歳になった時にさ……お互い彼氏彼女がいなかったら、結婚しちゃおうか?」
ひょんな話の流れから、ひゃみさんは俺にそう言った。それに思わず固まる。
「……お、俺はまぁ分かるけど……ひゃみさんは大丈夫でしょ?」
真に受けて照れてしまった俺とは対照的に、ひゃみさんはいつもと変わらない顔で「分かんないよ」と言ってくる。照れた自分を恥じて少しムッとした俺に、ひゃみさんは「どうしたの?」と聞いてくるものだから、頬をさすりながら「なんでもない」と答える。少しだけ笑った彼女は、それを深追いすることなく「そう」と返し、前を向いた。
「……あ、ねぇ辻くん」
クンクンと、制服の裾を軽く掴まれる。俺は素直に、彼女が指差す方向へと視線を向けた。そこには、店の前に置かれたガチャガチャが数台並んでいる。
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