苛立ち俺の家は昔から地球外生命体対策の国家機関に勤める血筋だった。
それゆえ因果なのかただの不運なのかわからないが地球外生命体と遭遇する率は幼い頃から高かった。
いや、もしかすると一般人も結構日常的に遭遇しているが気づいていないのか、記憶を消されているのかも知れない。
ともかく俺には気づく目もあったし、記憶を消されない理由もあったそれだけだ。
ある日父さんが機関から支給される新聞を読みながら呟いた。
「次世代が有望で助かるなあ」
そう言った父さんの顔は寂しそうだった。
小さかった俺は父がなんでそんな悲しそうな顔をするのかわからずに、ただ、父が読んでいた新聞の中の賞状を持って写真に写っているやつに対して怒りを覚えた。
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