猫になれたら────────────────────
「にゃあん」
ぱち、ぱち。小さな目を瞬いた。
今日は夕方から雨が降りだしそうだ。だからセカイでの練習にしようと冬弥に連絡を取ったのが、昼間のこと。
間もなく放課後という所で急遽助っ人を頼まれたサッカー部の試合を一つこなした後、まだやっていけとしつこい友人をどうにか躱して、急いで校舎裏に向かう。約束の時間まであと少し。思っていたよりも遅くなっちまった。家まで帰る時間は無さそうだ。
適当な木陰に落ち着き、辺りに人気が無い事を確認してから、セカイに向かうため端末を起動する。Ready Steadyをかければ程なくして眩い光に意識を包まれて、次に瞳を開けばいつものセカイ────に、来た。…筈だった。
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