後の祭り 夜が明けた。もう寝る時間。
枕に頭を沈めた僕。その上に覆い被さる先輩。
いつもどおり。これからする。それは嬉しいこと。
両手で顔を包んで、引き寄せて、キスをした、僕に──
「っ、今更なんだが、この体勢、苦手なんだ」
先輩が、気まずそうに言った。
「体勢?」
首を傾げた僕はベッドに横たわり、先輩はその上。
これの、何が?
疑問は声にする前に解決した。
「一方的に組み敷いているようで、落ち着かない」
「ああそういうこと」
それを聞いて僕が最初に思ったのは、別に四肢を拘束されているわけでもなし、仮にされていてもそれなりの訓練を受けているし、その気になれば返せるから気にしなくていいよ、ということ。
だけど。
「まぁ、それは先輩の心理的なもんでしょうからね、僕が何を言っても解決しないでしょうけど」
「察しが良くて助かる」
うなずく先輩に、僕はふむ、と考えた。
そして。
「じゃあこうしましょう」
片足で先輩の膝を払い同時に反対側の肩を押して、さして力も必要とせず身体を起こしてから尻餅をつく形になった先輩の腿の上に腰を据えた。
「このまましましょう」
対面での座位なら、組み敷く後ろめたさもないだろう。
僕の提案に
「うん」
同意した先輩がそれはそれは嬉しそうで、可愛らしかったものだから
「まぁでも、僕が疲れて腰振れなくなったら代わってくださいよ?」
と、わざと嫌味ったらしく揶揄ってみたら
「任せておけ」
と、先輩は目尻を吊り上げたから。
あ、これもしかして、墓穴掘ったかな?
そう思い当たったのは、この体勢だと僕の乳首が丁度先輩の口元に当たるな、と、吸われて、そして、気づいてからだ。