第5話第5話
「扉を閉めろ!カーテンも全部だ!」
普段穏やかに話す副部長・木暮の焦るその大きな声とともに、✿は体育館を飛び出した。
(私じゃだめだ、私だけじゃあいつらは、三井は止められない。)
「助けて、赤木君…!」
(もうそろそろ課外事業が終わるはず。大事にはしちゃいけないけど、それでも…!)
一段飛ばしに階段を駆け上がる。3階に着くとさらにスピードを上げ、理科実験室へ駆ける。一つ手前の教室で、授業終了のチャイムが鳴った。
「さて、部活にいくとするか…。」
準備室を出て、廊下を曲がると、赤木の前に✿が息切らして待っていた。
「はぁっ、はぁっ…はっ……。」
「✿?どうした」
✿は泣きそうな顔をして、赤木に懇願した。
「赤木君、助けて…!三井が…バスケ部に…!」
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