監督生たちの後日談 異世界から帰ってはや三ヶ月。共学の男女比や制服のスカートの感覚を思い出した私は、日本でも楽しい高校生活を送っていた。
今は暖房のついた部屋で物理の課題に勤しんでいる。えらい。正しくは綺麗な教科書と白いノートが机の場所を取っているだけなんだけども……。
公式が理解出来ないまま途方に暮れたので、諦めて窓の外に目をやった。ちょっとぐらい休憩しても未来の私は許してくれるはずだからね。
私の肌の水分を奪ったのかと思うほど潤う窓の奥に、薄い灰色の雲がぼんやりと広がっている。
空が晴れてたら、同じ青空を眺めてるとか考えたかもしれないな。グラウンドから見た青空は、いつだって晴天だったから。
あの世界に別れを告げたときの空も、遠くの方まで澄みきった、眩しいぐらいに綺麗な空色だったっけ。
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