エル・アズヴェル・サン
とあるしがない魔法使いエルサンは、勉強も魔法も人付き合いもうまくいかず、自分に自信が持てずにいた。
遂にひねくれてしまい、みんなと同じように魔法や勉強を頑張っても、結局誰かの為に平凡な人生を送って死ぬだけであり、全てに意味はないのだと考え始める。
ある日、不貞腐れて壊れかけの植物園に行くと、この世界を支えている世界樹を作ったという不思議な人物と出会う。この街の歴史を教えてくれた。エルサンは博識なその人物を先生と呼ぶことにした。
「先生、確かに博識だけどさ。世界樹を作ったってのは信じられねーぜ」
「おや、そうなのですね、なるほど…!では、私の住処へおいで下さい。」
世界樹を作ったのは本当なのかと疑うと、ヨザは自分の部屋へ案内し、自身が描いたという、世界樹再生紀という6つの本を見せてきた。
ページをめくると、繰り返し芽吹き、崩壊し、また芽吹き…という世界樹の歴史が描かれていた。
エルサンは信じられない気持ちだった。世界樹はひとつで、いつまでも続き、これからも永遠に続くと考えられていたからだ。そのためか、終わり方が印象に残った。
光に貫かれる話
黒い生き物に飲み込まれる話
穴に落ちる話
恐竜に焼かれる話
斧で切り倒される話
枯れてしまった話
いつなのかも分からない、知らない情報。子供の絵本のように抽象的で断片的な表現。神話を見ているようだ。
「有機生命体に私なんかの本を読んでいただけるとは思いませんでした。とても興味深いです。」
「なあヨザ先生、どの本が最初なんだ?」
「ああ、わからないんです。私にとって時間はどこにでもあって、いつでも感じられるのです。」
ヨザは世界樹の話と本を見せたのはエルサンが初めてだと話した。エルサンは自分しか知らない世界に強く惹かれていく。
「この本のことを解明すれば、きっとみんな驚くのぜ。」
エルサンは学校をサボり、世界樹とはなんなのかを知る冒険に出ることにした。
*ボツ展開だけど設定としては採用*
少年は書類だらけの物置へ入った。時が止まっているように静かで、保存魔法がかけらている。アズの昔のことが分かるかもしれない。
少年は使い古されたノートを見つけた。汚い古代文字で 冒険の書 第一巻 と書かれている。表紙を開く。
"学校帰りに世界樹を作ったという、ヨザっていうなんかに出会った。へんなの。"
気の遠くなるような日付にどきりとした。アズが世界樹になる前のノートか。少年は記録を辿り始めた。
ほとんどが学校が嫌だだとか、毎日つまらないという愚痴や、落書きだった。
少年は最後のページをめくる。
"世界樹のことを調べたので、ここにまとめる!
・とある魔法使いの女性が種を飲み込み、世界樹になったという言い伝えがある
・世界樹の祈りは、生き物にとって必要な大気並びに空気、気温、土壌、水などのすべての環境を整える。逆に祈りがないと、世界は冷たい石に包まれ、水と空気は枯れる。らしい!しらんけど!
・ヨザ先生の話によると、世界樹は6回滅んでいる。一箇所、何となくヨザ先生がいた場所が分かったので、これがほんとなのか知るために、現地調査を実行する!ほんとは学校サボって旅行に行きたいダケ
2巻へ続く!"