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    binetu0129

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    昔フォロイーにポイしたルロー👒🐯

    #ルロー

    昔フォロイーにポイしたルロー(学パロ)



    昼休みを告げる予鈴が校内中に鳴り響き、堅苦しい教師の声が止んだ。やっと自由時間ということもあって、活気の溢れる声が彼方此方へと飛び交う。やれ一緒にご飯を食べよう、やれ体育館に行こう、内容は様々だがそれもいつも通りなのだ。特別気にすることでもない。強いて言うなら、もう少し声のトーンが抑えられないものか、対岸にいる訳でもなし、少し口を開くだけで聞こえるだろうに。若さとは実に奔放である。

    「キャープテンっ!お昼食べましょ!」

    「俺も俺も!」

    そして何故かいつも俺に近寄ってくるコイツらも教室内の例に漏れず弁当を持ちながら終始笑顔だ。そのキャプテン呼びは止めろと、昔から口を酸っぱくして言っているはずなのに。
    そんなクラスメイトのペンギンとシャチは、俺の返事も禄に聞かずせっせと机を寄せて定位置に着く。もう見慣れつつあるこの光景に少しだけ安心する俺も所詮は一介の学生、ということか。

    「いやー今日のスモヤン白熱してたなぁ、テスト前っていつもだけど」

    「でもお前はどうせ半分も聞いてないんだろ?」

    「あ、バレた?」

    「…赤点は取るなよ。縋りつかれる俺の身にもなれ」

    「そんなぁ〜、でも何だかんだ言って面倒見てくれるキャプテン優し…ゴフッ」

    「黙って食え」

    べらべらとよく喋るシャチが俺の鉄拳を喰らって俯く。それをペンギンが呆れ半分に見つめていた。
    今日も何気ない日常。特に可もなく不可もない。
    そう思っていたのだけれど。

    「…あれ?木の下に誰かいる…」

    「へぇ?珍しいな、あそこ整備されてなくて草生え放題なのに」

    偶々窓の方を向いたらしいペンギンが、所謂校舎裏と呼ばれる場所に人影を見つける。その横から、いつの間にか復活していたシャチがどれどれと野次馬根性で目を凝らした。

    「えっとあれはぁ、……あ、………ペ、ペンギン!カーテン!カーテン!!」

    「はぁ?………あ、はい」

    「…?」

    今の今までワクワクしていたシャチの様子が一変する。急に慌て出したかと思えば、窓側に座るペンギンにカーテンを閉めろと要求し出した。
    一瞬怪訝そうな表情をしたペンギンだったが、シャチの視線の先を追うと、何故か納得したように席を立ってカーテンを引き始める。誰が見ても怪しすぎる2人の行動に元々厳つい眉が更に寄った。持っていたおにぎりをアルミホイルの中に丁寧に戻して立ち上がると、当の2人は見るからに慌て出す。くそ、仲間と思ってる奴らに隠し事をされるとは。せっかくの米の味が不味くなりそうだ。

    「…おい、何隠してる」

    「い、いやぁ!今日は天気が良いから日差しを遮ろうと思って!」

    「馬鹿言え、今日は曇りだ。ペンギン、カーテンを開けろ」

    「…見ない方がいいと思いますけど?」

    「はぁ?」

    いつになく頑なな二人を前に、今度は俺が困惑する。一体下に誰がいたというのか。
    話していても現状は一向に変わらない。そう悟った俺はズンズンと日差しの差す方へと歩み寄り、ペンギンが押さえているカーテンとは別の部分を自ら開け放った。
    3年生の教室は一番上の階だから、下を覗くのには少しだけ距離がある。しかし、そこにいる人物をいち早く証明できるものが真っ先に視界に飛び込んできた。

    赤いリボンの麦わら帽子。

    「…麦わら屋」

    ポツリと呟いた声は喧騒の響く教室内に静かに消えた。
    そこにいたのは、この学校で知らぬ者などいない、モンキー・D・ルフィその人だった。トレードマークの麦わら帽子は彼が常に身に付けている、言わば彼が彼であることの証明。
    そんな彼がなぜこの時間に飯も食わずにそこに立っているのかというと。答えは秒で叩き付けられた。
    彼に向き合うようにして佇む一人の少女がいたのだ。

    「あ、あのキャプテン…」

    「やっぱ告白、だよな。さすが麦わら」

    「っこのバカ!ペンギンお前にはキャプテンの気持ちが分からないのかよっ!」

    「俺がなんだって言うんだ?」

    下の光景をこの目で確かめて、やっと彼らの行動に納得がいった。二人なりに気を使ってくれていたらしい。
    それもそのはず。公にこそしていないが、俺と麦わら帽子の彼は所謂お付き合いというものをしているからだ。そこに至るまで、そりゃグランドラインも吃驚のとてつもない紆余曲折大航海があったのだけど今は必要性を感じないので割愛する。
    なにがともあれ、事情を知る二人は俺が気を落とすと思って視界を遮ってくれたのだ。別にそこまでヤワじゃないし、言ってしまえばあんなの日常茶飯事だ。実際に目の当たりにしたのは初めてだったが、それくらいで凹んでいるようじゃアイツと付き合うなんて夢のまた夢。

    「…さみしくないんですか?」

    「別に。よくあることだろ。実際アイツは人を惹き付ける」

    「キャプテンもそのひとr…ゴブゥッ!!」

    「だからお前は黙ってろ」

    そう、よくあること。割り切ってしまえばどうということはない。
    それに、本当は俺は嫉妬できる立場じゃないのだ。付き合うことに了承はしたけれど、自由を愛するアイツの行く道に異を唱える気は端からない。

    「信頼っていうか…愛だな」

    「……うっ、キャプテン健気すぎるぅ…」

    「誰が健気だっ!」

    言っていて恥ずかしくないのかコイツらは。
    そう口には出してみたが、聞いているとなんだか本当にそんな気がしてくるから悔しい。もうこの話は終わらせよう。あちらも見世物じゃあるまいし。
    そう思って窓から離れようとした時。
    不意に麦わら帽子の彼がこちらを仰ぎ見る。
    こんな時にお得意の野生の勘が働いたのか、ばっちり目が合ってしまった。

    「っうわ!こっち見た!」

    「あーらら、バレちゃった…………ん?なんか言ってる?」

    何故か俺より慌て出すシャチを宥めながらペンギンが首を傾げる。
    彼の言うとおり、麦わら屋はこちらに向けて何かを発しているようだった。仮にも告白の最中(だと思われる)になんて男だ。相手に失礼だろう。
    俺はこっちはいいからと手のひらを下に向けて払うような動作をしたのだが、未だ視線を外さない彼はジェスチャーで窓を開けろとまで指図してくる。

    「えぇ…どうすんですか」

    「知るかよ、無視だ無視。さ、食うぞ」

    「いや!キャプテン無理ですって!ほらあの顔!!開けないと絶対今すぐこっち来ますよ!」

    そう揶揄されるくらいには真剣な顔付きの彼が、じっとこちらを見ている。本当に何だというのだ。俺はただ静かに飯を食いたいだけなのに。
    はぁ、と盛大なため息を漏らしながら、ゆるゆるとした動作で窓枠を引く。初夏の風が心地よく横髪を靡かせた。

    「お!よし、いいな!……トラ男ーー」

    こちらが応じると、麦わら屋は大きな口を開けて俺の愛称を叫び出した。それは窓を開けている教室ならば全体に聞こえるんじゃないかと思える程大きな声で。
    案の定俺の教室の奴らはなんだなんだ?と群がってくる。おい、寄って来るな。見世物じゃねえって。

    「うるせェ!場をわきまえろ馬鹿!」

    「トラ男ー!おれートラ男のことがーめっちゃくちゃ好きだァーーー」

    「…………は、…………?………………っ」

    次に彼が大声で放った言葉は、今しがた自分自身もされたであろう、告白、というやつで。
    俺は数秒間思考を停止した後、一気に込み上げてくる熱に顔面の肌全体を支配されながら思わず固まってしまった。すぐ隣にいるペンギンやシャチも予想だにしない事態に唖然としている。
    しかし、彼はそんなことお構い無しなのか更に続けていく。

    「おれーー!もう好きな奴誰って聞かれた時誤魔化すの嫌だーー正直にトラ男が好きだって言いてェーーー」

    「…っ、あ、…も、もう言ってるじゃねェかっ…!」

    「だからー!何度でも言いてェの俺はトラ男がーー」

    「わかったから!わかったからもう叫ぶなッ」

    「好きだぁーーーー」

    もうこうなってしまえば彼の独壇場だ。こちらがいくら咎めたって聞きやしない。何千年前ならいざ知らず、今は物を入れ替える能力なんて持ってないのだから。
    しかも、いちばん厄介なのは。その太陽を思わせる笑み。まるで、初めて彼の告白を受け入れた瞬間のようなそれを浮かべられては、もう。
    ああ本当に、俺は昔からお前のこういう所が心底苦手なんだ。

    片手で顔を覆いしゃがみこむ俺を見下ろしながら、ペンギンとシャチは半笑いを続ける。

    「うわー、俺これテレビでしか見たことない…」

    「あの有名アイドルが来て屋上で叫ぶヤツだろ?ほら、キャプテン。返事返事」

    いつの間にやら教室、挙句の果てには廊下も含めて野次馬が集まっていた。皆それぞれ悪ノリしているようだが、総じてヒューヒューとか場を盛り上げる声援を送られている。
    なにがなんだか分からないまま再び窓際に立たされ、真っ直ぐな彼からの視線を受け止めた。
    黒々と凛々しいのに温かい瞳。道に迷った時、思わず縋り付いてしまうような一筋の鮮烈さが、そこには宿っている。

    「トラ男」

    殊更優しく響く声音。もう逃げられないと悟るには十分だった。

    「好きだぞ!」

    「……………〜〜〜〜っ、 」




    その日の昼休み。
    全校生徒を賑わせた大告白劇は、今や代々に語り継がれる校内ジンクスにまで発展していた。
    なんでも、校舎裏から好きな人の名前を大声でさけんで告白すると、恋が実るのだとか。本当、馬鹿馬鹿しい。
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    MOURNING昔フォロイーにポイしたルロー👒🐯昔フォロイーにポイしたルロー(学パロ)



    昼休みを告げる予鈴が校内中に鳴り響き、堅苦しい教師の声が止んだ。やっと自由時間ということもあって、活気の溢れる声が彼方此方へと飛び交う。やれ一緒にご飯を食べよう、やれ体育館に行こう、内容は様々だがそれもいつも通りなのだ。特別気にすることでもない。強いて言うなら、もう少し声のトーンが抑えられないものか、対岸にいる訳でもなし、少し口を開くだけで聞こえるだろうに。若さとは実に奔放である。

    「キャープテンっ!お昼食べましょ!」

    「俺も俺も!」

    そして何故かいつも俺に近寄ってくるコイツらも教室内の例に漏れず弁当を持ちながら終始笑顔だ。そのキャプテン呼びは止めろと、昔から口を酸っぱくして言っているはずなのに。
    そんなクラスメイトのペンギンとシャチは、俺の返事も禄に聞かずせっせと机を寄せて定位置に着く。もう見慣れつつあるこの光景に少しだけ安心する俺も所詮は一介の学生、ということか。

    「いやー今日のスモヤン白熱してたなぁ、テスト前っていつもだけど」

    「でもお前はどうせ半分も聞いてないんだろ?」

    「あ、バレた?」

    「…赤点は取るなよ。縋りつかれ 3918

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    「キャープテンっ!お昼食べましょ!」

    「俺も俺も!」

    そして何故かいつも俺に近寄ってくるコイツらも教室内の例に漏れず弁当を持ちながら終始笑顔だ。そのキャプテン呼びは止めろと、昔から口を酸っぱくして言っているはずなのに。
    そんなクラスメイトのペンギンとシャチは、俺の返事も禄に聞かずせっせと机を寄せて定位置に着く。もう見慣れつつあるこの光景に少しだけ安心する俺も所詮は一介の学生、ということか。

    「いやー今日のスモヤン白熱してたなぁ、テスト前っていつもだけど」

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    「あ、バレた?」

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    「キャープテンっ!お昼食べましょ!」

    「俺も俺も!」

    そして何故かいつも俺に近寄ってくるコイツらも教室内の例に漏れず弁当を持ちながら終始笑顔だ。そのキャプテン呼びは止めろと、昔から口を酸っぱくして言っているはずなのに。
    そんなクラスメイトのペンギンとシャチは、俺の返事も禄に聞かずせっせと机を寄せて定位置に着く。もう見慣れつつあるこの光景に少しだけ安心する俺も所詮は一介の学生、ということか。

    「いやー今日のスモヤン白熱してたなぁ、テスト前っていつもだけど」

    「でもお前はどうせ半分も聞いてないんだろ?」

    「あ、バレた?」

    「…赤点は取るなよ。縋りつかれ 3918