ふたりぼっち窓辺からジャックは外を眺めていた。
外は昼間から降り続いている雨が今も降っており、周囲の音を吸い込んでしまったかのように雨が降る音しかしない。
あまりに静かな夜の空気に、小さく息を吐く。
そんな事は有り得ないのに、この世に独り取り残されたかのようで。
この感覚は、ロンドンを生きていた頃の感覚に似ている。
独りで夜の街を歩いていた、あの頃にーー。
そんなジャックの耳に、不意にくしゅんっと音が届いた。
外から室内へ視線をやれば、音の主の身体がぐしゅと鼻を擦る。
「んーーー?」
何かを探しているのか、伸びた大きな手がシーツの上を2,3度滑る。
「ん---?じゃっく??」
ぽんぽんと叩いても目当てのモノに触れられない事を不思議に思ったのか、身体を起こして回りを見渡した後、窓辺にジャックを見付けたヘラクレスはボフンと、ベットに再び倒れ込んだ。
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