写真 ガンガディアは時間を確認しようとスマートフォンに触れた。ぱっと明るくなる画面に時刻が表示される。しかしそれよりも目がいったのは、壁紙に設定したマトリフの写真だった。
「……おい」
上司の苦い声にガンガディアはスマートフォンから顔を上げる。見ればハドラーが天敵でも見るような顔でガンガディアのスマートフォンを見ていた。ガンガディアはサッとスマートフォンを隠す。
「見ないでください」
「だったら壁紙なんぞに設定するな」
「せっかく撮らせてくれた写真なんですよ。いつでも見られるようにしたいではないですか」
「……それは隠し撮りではないのか」
ハドラーが苦い顔をしたのはそのせいもあったらしい。マトリフの写真は横から撮ったもので、視線すらこちらに向いていない。少し遠いのも相まって、まるで隠し撮りのように見えなくもない。
1067