雨が降る 踏切で奇妙なことが起こると高専に電話があったのは、じめじめとした梅雨の時期で、その日も雨が降っていた。
「行ってくれるか」そう夜蛾先生は教室に俺と傑を呼び出して言った。踏切で何が起こっているのか俺たちも先生も知らされていない状態だったから正直不安だったが、電話の主人はもっと取り乱していて、一体何が起こっているのか知れそうにもなかったのだという。ただ先生は拍手をする人間がいる、いや、人間じゃあないかもしれない、とだけ言った。俺はそこでなぜか嫌な予感がしたが、呪術師はこの世ならざるものを恐れてはならないし逃げてもいけない。俺はそれを思い出し、薄暗い部屋でサングラスを掛け直した。
「傑も行くの? 俺一人でもいいけど?」
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