可愛い唇 「耳かき、ですか?」
私の問いかけに悪虂さんはにっこりと笑って頷いた。話を聞くところによると白月さん、はたまた瀬見さんからか。人間の夫婦や親子がする、仲を深める行為という風に聞いたらしくしてみたいと私に申し出てきたのだ。
「いいですよ」
そう頷けば嬉しそうな顔をして、そして悪虂さんは自身の膝を叩いた。いつの間にかその手には耳かき棒が握られてあった。
「そ、そっちなんですか!?」
「ええ。ほら、私は角がありますし…それ以外としても、しのさんにしてあげたいんですよ……だめでしょうか?」
しゅんとしたように言われてしまえばだめとは言えず遠慮がちに悪虂さんの膝の上に頭を置くようにして寝ころんだ。
「安心してください、童たちに練習台になってもらったので」
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