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    ちゅきこ

    @chukiko8739

    20↑腐/文字書き1年生/掲載ものは基本tkrb🍯🌰(R18)/CP固定リバ有の節操なし
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    ちゅきこ

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    脳神経内科医・光忠さんと、脳神経外科医・伽羅ちゃん、伊達組+αのみんなが脳血管センターのドクターとして働いている話。
    今回は光忠入局2年目、大倶利伽羅研修医2年目の話。
    光忠の実家を訪れ、二人の関係を報告します。
    上中下の3部構成の中、燭台切父の独白から始まります。

    【刀×医パロ(🍯🌰)】㉕鍔際(中)父は僕と伽羅ちゃんを見つめたまま、いつも以上に落ち着き払って、淡々と回顧を始めた。

    *****

    相州という男は私の理想だった。
    私と彼は刀医の同期で、1年の時から何をするのも一緒、ずっといい級友だった。私は二世医者で親の七光りという感じだったから、常に自らの意思があって邁進する彼がとても眩しかった。
    彼は熱心で研究も好きだったし、臨床では脳をやりたいと言って外科医になった。
    私もそれは面白いと思って一緒になってやってたら、いつの間にか神経内科医になっていたよ。
    当時は臨床研修医制度もなくて、卒後に入局したらそれっきりだったから、私も相州も若手で入局したての頃はそれこそ馬車馬のように働いた。

    そのうち相州は論文をよく書くようになり、海外の学術誌にも掲載され、脳波計の開発で産学の橋渡しをするようになった。
    そういうのが気に入らない人というのはどこの世界にもいるでしょう。
    いろいろ意地悪があって、人事で冷遇されたり、科研費の先端研究を故意に申請させなかったりとか色々あったけど、誰にも相州の躍進は止められなかった。
    誰しもが、四半世紀後に彼はこの大学の頂点に立つと思っていたよ。
    だがある日、突然その歯車が狂い始めた。

    当時、刀医には第四病院があったが、その時既に2年後閉院することが決まっていた。そこへ、突然相州が異動願を出した。
    左遷だとか相州は終わったとかその時も好き勝手に騒がれていたが、本人の意思だと彼自身から聞いてね。変だと思って、大学に愛想が尽きたら私の父の医院に来るといいと言ったんだが、
    「俺は政治に向かないだけだからここでいい」
    と言うんだ。そんな訳がないのは誰もが分かっていた。彼は研究者・臨床医としてのみならず、政治も経営もできる帝王学をはじめから持ち得ていた。
    私は元来、そういう政治力というか、そんな遠回しな表現は良くないね、汚い仕事を処理するのが得意で、相州が困っているのであれば手助けをしたいと再三申し出ていたけれど、悉く退けられた。
    この時を境に、私と相州の間で長く通わせていた心の繋がりが絶たれた気がした。

    そして、半年後に彼は死んだ。

    自死だったんだよ。第四病院の17階建ての屋上から飛び降りた。人がその高さから飛び降りたらどうなるかわかるでしょう。
    平日の、普段通り外来をやっている時間だった。彼の身体は裏の職員通用口の方に落ちたので、患者さんをはじめ一般に知られることはなかったが、その時の音は物凄いものだったそうだ。頭部も勿論めちゃくちゃだ。
    彼には生まれつき左腕に特徴的な痣があって、こう、螺旋を描くような、彼は蛇のようだと言っていたが私には龍に見えるようだったかな。その腕の痣だけがきちんと視認できて、体格や褐色の肌や身に着けているものなんかで、彼と判った。
    もしかしたら彼には癌とか脳腫瘍とか重大な疾患があって、助からないことを悲観して落ちたのかもしれないけれど、いかんせん、あまりに破損した肉体を病理にかけることは当時の技術では困難だった。
    私は事を聞きすぐ駆けつけた。脳外の彼を慕う医師たちが、私の到着まで彼の個室を綺麗にして待っていてくれた。
    扉を開くとね、そこには壁一面の告発文が貼られていたんだよ。
    彼は自らに起こった事以外にも、当時の上層がやっていた醜いことを全て証拠もつけて把握しきっていたんだ。それを整然と事細かく記録され隈なく掲示してあった。これが開示されれば要職が全て失職する、もう大学なんて吹っ飛んでしまうような玉手箱だよ。すごいお土産でしょう。
    こんな強力な武器を持っているのに自死してしまうなんて、今でも私は彼が抗えない病の前に倒れたとしか想像できないのだよ。

    変な言い方だが、私はそれから一生懸命汚い事をやってね、幾人かの本当に去るべく人たちに丁寧に引導を渡すところから始めた。相州の告発は無論全てが正しかった。私はそれを読み上げただけなんだよ。
    更に申し訳ない事だったが、私の同期にも一様に大学内部に残る事を許さなかった。私自身も含めてね。それには十年ほどの年月を要した。
    相州の事を覚えていてほしくなかったんだ。語られる事で彼を知らない人が汚名を撒くくらいなら忘れてほしいと思った。
    これは私のエゴでね、脳外の医局員は私の陰謀だと罵る者もいて、本当にごもっともだと思う。特に三日月くんにはかなり手ひどく言われたよ。しかし私だけの力では、相州の名誉を守ったままで彼の存在を保つことが出来なかったんだ。
    第四病院は当初の予定を待たず早々に閉院した。私は大学側にその跡地と長船会の所有地の換地を申し出て、第四病院を譲り受けた。更にそれを別法人に寄贈して、今から15年前に新病院として開院した。それが今の本丸病院だよ。あちらの人事は私の直属の後輩である三日月くんに、開院当初からお任せしている。

    君の話をしていないね。相州の息子はいつどうやって生まれたか、私の知る限りで話してもいいかな。
    相州が死んだ時、彼は結婚していなかったし、君のお母さんはまだ妊娠していなかった。どういう事だかわかるかい。
    君のお母さんは私たちのふたつ学年が下で、もうひとりの同級生と一緒に連れ立って追っかけをする相州のファンでね。学生時代から彼によくくっついてきたものだ。
    あくまでも私の邪推だが、相州はもしかしたら女性が好きではなかったのかもしれない。生涯伴侶を持たなかったんだよ。追っかけのふたり組は、ひとりは相州を諦めて、もうひとりは彼を別の形で手に入れようとした。

    その子は産婦人科医になった。彼女は生殖技術の革新にとても肯定的だった。卒後入局してから早々に彼女が不妊治療と培養に特化した研究をしていたのは周知だった。
    相州が第四病院へ異動する半月ほど前、彼女は私と相州を呼び出した。
    倫理委員会の迅速審査に上程するための検体が不足していて困っていると彼女は言っていた。私は、彼女のいつにない饒舌ぶりに、本能的な違和感を持った記憶がある。ともあれ私たちは彼女の臨床研究のために、精子提供の同意書を書いたよ。
    そして私はついにそれを依頼されなかったが、後になって相州は4度彼女に検体していることが分かった。
    そして相州の自死のふた月後、彼女は倫理委員会への虚偽文書報告の背任で懲戒になった。
    彼女はその後、得た検体で凍結胚の生成や胚分割・着床の臨床研究と、今までの研究成果の総力を尽くしていった。提供された精子や受精に使われた卵子が果たして元来の遺伝子由来だったか、それすらゲノム研究されたものだったか、彼女以外に誰も知る由はない。
    そして彼女は相州の死から4年後、着床した受精卵をもって、生産期で男児を出産した。それが大倶利伽羅広光くん、君だと、私は思っている。

    全てを調べ尽くした後に君が生まれたと知った時、私と三日月くんは大いに沸いてね、行き場のない復讐のシナリオを憑かれたように綿密に描いてしまったんだ。相州の復権を君でもって実現しようと思ったのさ。
    今思えば、君の人格を無視したただの横暴でしょう。軽蔑されるべき事だ。
    ただそれほどまでに、私と三日月は彼の亡霊を追い求めてしか生きられなくなっていたんだ。
    私は周囲の過去の忘却に努め、三日月くんは君の保身に努めた。

    そういえば、君に渡していた相州のお金は、彼の生前に脳波計の開発で協働した東北光電からの研究費が元手になっている。十余年かけて資産運用したものを君のお母さんにお渡ししたよ。
    本当は今でも相州の特許についての僅かな支払いがある。手数料も加味すると精算したらあまり残らないが、私がお預かりしている分だ。君にお戻ししたい。

    それはそうと、今思えば間抜けな話だが、相州のような逸材の子なのだから、刀医のようなちっぽけな世界でなくても国立大学の医学部に進学をして、自由に医学に勤しみ過去を背負わず生きられると、そんな当たり前のことを私たちは思いつきもしなかった。
    実は私は仙台の君を二度ほど訪ねて行ったことがあってね。小学生になる頃と、中学を卒業する頃かな。すぐに相州の子だと分かり、そしてあまりに健やかで、彼と同じように優しい面立ちの君を見て、私はなんと愚かだったのだと打ちひしがれた。同じ年頃の光忠の姿も重なってなおのことね。
    そして今までの負の感情に取って代わって、君の幸福をただ祈りたい、その為ならどんなことでもしてやりたいと、まるで親戚の、伯父のような気持ちで君を見るようになった。

    ただそれが解らないのが三日月くんだった。彼は鬼に憑かれた復讐の化け物だ。なんとしてでも君を相州として、彼が築き上げた玉座に再び着かせたかった。そして、既に花屋を営み出直しをしていた君のお母さんに接触して、刀医の受験を勧めたんだ。入学後は諸事面倒を見るとでも言ったのだろう。
    私の本意ではなく君は刀医に入学した。しかし純粋な親心で君に不便がないように、在学中は少しだけ助力したつもりではあるよ。それでも君に相州を未知の存在にしてしまったのは本当に申し訳なかった。
    君が入学して半年くらいした頃から、光忠が『からちゃん』の話をよくするようになった。なんとなく勘がはたらいたが、私はそれを君と確信するのを見送った。
    そして4年前に光忠から君たちの情の深いことを聞いてね、観念したというか、ほっとしてしまったんだよ。
    また都合の良い事だが、私は自分の想いを、今度は息子に託した気になったんだ。そもそも君は相州ではなく、光忠もまた私ではないのにね。最後まで酷い話だろう。

    しかし私は今なお、ひと時たりとも相州のことを忘れられないでいる。自らの法人を全国に拡げ、大学の権限をほしいままにし、そのための代償を払ってきたのは、私が唯一彼の為にできる汚れ仕事だったんだ。その悲願は相州が亡き今、何の意味も成さないことなんて、初めからとうに分かっていたのに。

    君へのお詫びが足りない上に、長い話に付き合わせてしまった。重ねて悪いことをした。
    ただ心から大俱利伽羅くんの幸せを祈るよ。男として、医者として、人としてね。
    光忠は大事なひとり息子だ。昔の私であれば、お嫁さんをもらって、早く後を継がせて、ずっとそばに置いておきたいくらいだった。それくらい可愛い息子だよ。
    だが君の隣にいることがそれに優る幸福だと思うから、私たちの幸福でもあるから、どうか、さきほど私に聞かせてくれたその言葉を、返さず胸中に取っておいてくれないだろうか。

    *****

    伽羅ちゃんは息をしているか不安になるくらい静かで、じっと同じ姿勢で父の話に聞き入っていた。そして最後の投げかけに、はい、と短く返事し、やっと僕と目が合う。
    「伽羅ちゃん…大丈夫…?」
    「ああ」
    伽羅ちゃんに僕の顔色の方が悪いと言われ、自分が今どんな顔をしているのかもまったく気を配れていないことに気づいた。父を見ると、先程まで面持ちは消えて元の穏やかな表情に戻り、今までの話をもう聞き返したりできないような気さえした。
    「父さん、相州さんは…下の名前はなんていうんだい?その、腕に痣があったの…?」
    僕はまだ間に合うかと思って聞いてみると、父は平生の顔でそのまま答える。
    「下はね、大俱利伽羅くん、君がその名をもらっている」
    「あ…」
    僕はまた伽羅ちゃんへ向き直った。彼はお父さんから名前をもらったのか。そしてだから父は伽羅ちゃんを名字で呼び続けるんだ。きっともう呼べないんだろう、父は当時を鮮明にさせることを恐れているように見えた。
    伽羅ちゃんは何故か、全て承知しているように動じていなかった。彼は今、何を考えているんだろう。
    「痣はね、子どもの頃からずっとあったと本人が言っていたよ。昔の写真も見せてもらったことがあるような気がする。それを彼は隠していなかったから、夏には普通に半袖も着るし、まわりは皆知っていたよ。処分されていない写真があるなら写っているはずだ」
    伽羅ちゃんの夢に出る鏡の向こうの自分は、もしかするとお父さんの姿だったのかもしれない。どこかで昔の写真を偶然目撃した伽羅ちゃんの深層の記憶が夢に作用していたと考えれば自然だ。伽羅ちゃんが足りないと思っていたのも、深層の思考がなにか警鐘を鳴らしていたのだろうか。
    「父さん…これからも、相州さんのことは…」
    僕が質問する前に、父が首を横に振った。
    「もう何もするつもりはないよ。私は随分前から、もう何もしていないんだ。あの小さな金魚鉢の世界の中で、相州が忘れられたままなだけだ。ただ、君たちふたりに打ち明けることだけに怯えていたんだよ」
    その悲しみの混ざった笑顔を見た僕は、全て終わったことなのだと、抗えない残酷だけ置き去りにされて今は成す術ない鋳型の過去なのだと、静かに受け入れた。
    伽羅ちゃんがポケットから携帯を取り出し、画面を光らせて確認した。
    「買い物が終わったらしい。すごいものを手に入れた、と言っているぞ」

    大興奮で帰ってきた母の声で、部屋に充満する冷え切った鋼のような空気は一瞬で粉砕し、その『すごいもの』が一体何かを懸念する僕の思案も見事に裏切られる。
    「からちゃん、見て!お店で見つけた栓抜き、なんと、なんと!ワインオープナーもついてるの!あとね、缶も切れる?みたい…ねえ、缶ってプルタブで開けるから、缶を切ることってなにか別の用事があるのかしら…?」
    伽羅ちゃんが立ち上がりながら笑っている。
    「使い方、分かりますか」
    「え?これ全部引っ張り出すんじゃないの?」
    危ないですよ、と言いながら、伽羅ちゃんは三たびダイニングに向かった。黙って見送る僕に父が
    「そんなに妬きなさんな」
    と窘める。
    戻ってきた伽羅ちゃんが栓を抜いた瓶ビールとグラスを運んできた。
    「勝手にすみません…1本開けてしまって」
    「母さんが手でも滑らせたかな。いいよ、先に飲み始めましょう。じきに寿司も届くだろうし」
    父がグラスを受け取って、伽羅ちゃんの酌を受ける。僕もグラスを持ってビールを注いでもらった。
    「伽羅ちゃんも飲む?」
    「いや、向こうでアルバムを見ようと誘われている」
    「え…母さんに?」
    伽羅ちゃんは頷いた後、少し緩んだ顔をして、母親ってこんな感じなんだな、と呟いた。

    インターホンの音で出前がもう届く頃だった思い出す。僕が父に断って受け取りに地階へ降りると、長らく見かけなかった伽羅ちゃんが後からついてきた。
    お寿司屋さんから桶を4つ受け取って、ふたつは伽羅ちゃんへ持ってもらう。エレベーターを呼び出している間、伽羅ちゃんの額に額をくっつけて、平気?と聞いた。
    「ああ」
    「お寿司食べたら終わりにする。我慢できなくなったら、教えて」
    「俺のことは気にしなくていい」
    伽羅ちゃんは僕に返事をしてから、僕の頭の向こう側を見上げた。
    「なあに?」
    「あんたの双葉は、子どもの頃からあったんだな」
    え?双葉?
    そこの、髪が左右でぴょんぴょんはねてるやつ。
    「うそ…恥ずかしい…本当に母さんとアルバム見たんだね」
    「ああ。裸の赤ん坊から全部見た」
    伽羅ちゃんが母といる時は少し気を休めて、その時間を楽しんでくれているようで少し安心した。
    お寿司とビールを愉しみながら和やかな夕食を過ごす。伽羅ちゃんが三日月先生の研究室に出入りしていたことも父に知られていて、話を振られるたびにあからさまに顔を顰める彼が可笑しかった。
    父は本丸病院に僕と伽羅ちゃんが相次いで入局していくことが少々惜しいようだ。
    「確かに素晴らしい病院にしようという気概はあったのだが、こうも吸い寄せられるように皆に入局されると、私が持っている病院が手持ち無沙汰になってしまうな」
    僕がビールを継ぎ足しながら請け合う。
    「鶴さんがいるからみんな来ちゃった感じだよね。長谷部くんもいるし」
    それを聞いた母は長谷部くんが本丸にいるとすっかり忘れていたらしく
    「もしかして、光忠は今、長谷部くんと同じ病院で働いているの?」
    と頓珍漢なことを言って、伽羅ちゃんが喉に握りを詰まらせた。

    食後、タクシーを呼ぶ電話を済ませて、父の食後の日本酒に付き合わされていた伽羅ちゃんのところに戻る。
    「大倶利伽羅くんは、研究職への関心があるのかね」
    「…才覚がありません。ただ、託せる友人がいます」
    加州くんのことだ、とすぐに分かった。伽羅ちゃんは父と話す時も考えながら誠実に返す。恐縮はしているが、濁したり黙したりすることはなかった。
    「謙遜だよ。伽羅ちゃんが院生になったら飛び級して修了できる」
    「光忠」
    伽羅ちゃんが少し怒ったように僕の名前を呼んだので、父さんは三日月先生に言ったりしないよ、と諫める。
    「三日月くんが躍起になるのが分かるよ。あの男は、逃げる者ほど追いかけるから。そして才ある若人が大好物だ」
    父はそう言って、いつになくよく酒を呑んだ。
    タクシーのヘッドライトが窓に反射し、家の前で停まったのが分かる。帰り支度も済ませていたので直ぐに立ち上がって足早に玄関へ向かった。
    「父さん、母さん、じゃあまた来る時にね。今日はありがとう」
    僕はそこでまた感傷の波に飲まれそうになるのを堪える。
    「本当に、ありがとう」
    重ねて言うと、母が手を握ってきて、光忠好きよ、と返してくれる。
    「お邪魔しました」
    頭を下げる伽羅ちゃんの手も握った母は、
    「またいつでもいらっしゃい」
    とくしゃくしゃの顔で微笑んだ。
    父も黙って笑っている。タクシーに乗り込み、窓の内側から手を振る。
    ふたりに全てを受け入れてもらったのに、父から全てを打ち明けられたのに、これからずっと遠くへ離れていくような錯覚の中で、僕たちは暗闇の家路を走り始める。

    〈続〉
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