冬はつとめて 冬の朝、朝日が昇るほんの少し前に、加州清光は目を覚ました。
素肌に直に触れるのは、なめらかなシーツの感触。衣服は何も身につけていない。目を閉じたまま身じろぎをすれば、つま先が寝具の端からはみ出した。素足が朝の冷気に晒され、清光は思わず身体を縮こまらせた。
日本家屋を模して作られた本丸の居住区画は、気密性も保温性もその見た目よりもずっと優れている。室温を調節すれば、真冬に裸で寝ていようとも凍えることはないのだが、あいにくと昨夜は空調を弱くしたまま寝入ってしまったのだった。おかげで今朝は、布団に籠っていても寒い。耐えかねた清光は傍らにあるはずの温もりに身を寄せようとして――自分が布団の中に一人であることに気づいた。
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