花弁は愛の証 “それ”に最初に気付いたのは、花音のクラスメイトであり親友でもある白鷺千聖であった。
5限目の体育に備え更衣室で着替えていた彼女は、同じく隣で制服を脱ぐ花音が視界に入った時に、それに気付いてしまった。
それは、花音の首筋にある痕であった。
鬱血痕のようなピンク色のそれは、白い肌の中だとよく目立って見えた。
「花音、首のそれ、」
思わず指摘してから、しまったと千聖は後悔した。
虫刺されにしては時期が早過ぎるそれだったが、なんならいっそ虫刺されと言い張ってくれた方が平和に終わると。それか寧ろ、何を指摘されたのか気付かずにいて欲しいと。自分で聞いておいて、そんな願望めいた思いを花音に向けた。
「……ああ、これ?」
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