本当はもう終わりにしたい チャペルの中は静まり返っていて、パイプオルガンの音が厳かな雰囲気を作り上げる。
カメラマンが構えるカメラも、スマホを構える参列したゲストも、みんなが入り口の大きな扉に注目していた。
扉が開く。一斉に押されるシャッターの音が鬱陶しい。
一歩、一歩。新婦が歩んでくる。一番通路側の席からは、新婦の顔がよく見えた。
「かのちゃん先輩!みーくん、すっごく綺麗だね」
隣のはぐみちゃんが耳打ちしてくる。
美咲ちゃん。
真っ白なドレスを纏う彼女の顔は緊張していて、恥ずかしそうで、でも幸せそうだった。
慣れないドレスに慎重に歩いてくる美咲ちゃんが、私の目の前の通路にやって来る。
距離にして1メートルにも満たない。手を伸ばせば、その手を掴むのは容易だった。
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