星月 ──星が落ちてくる。
夜の帳を縫うように、一筋の弧を描いて。
この広い、ハイラルの大地へと。
【星月】
「この子のような馬を、『星月』と呼ぶのだそうですね」
姫の言葉に、俺は姫の方を振り向いた。俺がそのまま──俺の表情の動きが分かるダルケルやミファーから見れば、かなり呆けているように見えただろう──姫を見つめていると、餌やりの手が止まって不満だったらしい俺の馬が、鼻先で俺の肩を小突く。俺は慌てて、樹からもいだばかりの手に持っていたリンゴを、馬の口元に差し出した。
そんな俺たちのやりとりを見た姫が、陽だまりのように柔らかな笑みを浮かべた。
姫と俺は今、城の厩舎にいる。馬に乗り慣れない姫が、馬と親しくなるために馬の生態と、俺の馬との接し方を知りたいのだと俺に助言を求めたからだ。
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