Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    みう🐈

    アルユリとかいろいろ書いてます

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 40

    みう🐈

    ☆quiet follow

    寝不足はよくない

    アに片思いしてるユの話。

    街の視察に行くことになったユと護衛のア。その途中で猫に出会う。どうやら近隣の家の猫らしく、首輪が付いていてとても懐っこい。アは猫を抱き上げると、頭を撫で顎の下を摩り、鼻と鼻をくっつけて猫と戯れる。そんな光景を見ながら「(いいなあ…)」と思うユ。実はこの対策本部室長、2徹明けである。そしてアに絶賛片思い中だった。普段はそんな気持ちを心の深いところに押し込めて隠しているのだが、生憎この日のユは眠かった。よって理性とか色々が若干抜け落ちていた。そしてユは思った、自分も猫になればアに撫で撫でしたりしてもらえるのでは?と…。すごく眠かった。
    研究室に帰ったユ、早速猫になる薬を開発し始める。レポートを書き、材料を調合すること十数時間。翌日の朝、とうとう猫になる薬が完成する。これがあれば私もアルベールによちよちなでなでしてもらえるかも…!!最早正常な思考の定まっていないユ(寝不足は人を壊すので皆はしっかりと寝たまえ。ニュルニュルおじさんとの約束だ)早速出来たばかりの猫になる薬を飲み干せば、研究の成果はばっちり作用し、ユはちんまり小さくふんわりとした毛皮のなんとも愛らしい猫にその姿を変えた。
    さてこれからどうやってアに会ったものか。そう考えているユの元に、バタバタと忙しない足音が聞こえてくる。これは正しくアの足音、なんというグッドタイミング。「ユリウス!お前また徹夜したな!?見回りの兵に夜中ずっとお前の部屋の明かりがついていたと報告を受けたぞ!」怒鳴りながら部屋に入ってくるア。しかし見渡せどユの姿が見えない。「ユリウス……?」不審がったアがつかつかとデスクに近づくと、そこには。ユリウスの纏っていた服が床にばらばらと落ち、その真ん中にオールドローズの毛色をした猫が佇んでいるではないか。「猫……?」訝しげにアは呟く。デスクに目をやれば、そこにあったレポートには、猫になる薬の文字が。床に散らばるユの服。ユと同じ色の毛並みの猫。そしてなんとも怪しい薬のレポートと空のビーカー。「……お前、ユリウスか?」恐る恐る尋ねたアに、未だ寝不足テンションのユは「にゃあ〜」と可愛らしく返事をしたのだった。
    一体何してるんだお前……。そう頭を抱えたアだったが、見れば見るほど猫のユは可愛らしかった。思わず抱き上げたい衝動がアを襲う。この男、実は猫派だった。「なあ、ユリウス」「にゃう?」「その……抱き上げても、良いだろうか?」これは思ってもみないチャンス!猫ユはご機嫌よく「にあ!」と返す。どうも肯定の返事を返されたらしいと理解したア、猫ユをそっと抱き上げる。オールドローズの長毛はふわふわと撫で心地が良く、キラキラビー玉のようにきらめくワインレッドの瞳がジッとアを見つめて、アはすっかりそれの正体が我が親友殿であるということを半分忘れてしまった。「うわあ〜可愛いなあお前!いいこだな〜!」「にゃう〜」一方の猫ユもトントン拍子にことが進んだことですっかりご機嫌になり、普段の自分のキャラをすっかり忘れてアに甘え放題だった。
    「そうだ、お前と一緒に食べようと思ってサンドイッチを持ってきたんだった。食べるだろう?」「にい!」ユリウスがいつも腰掛けているチェアに座ったアは、デスクに置いた紙袋からサンドイッチを取り出す。「卵とハムどっちが良い?」そう問われ猫ユはちょっと考えたあとハムの方をふんふんと鼻でつついた。「ん、よしよし。じゃあ俺は卵な。いただきます」「にあ」アの手からサンドイッチを差し出され、それをもくもくと食べる猫ユ。(※実際には動物に人間の食べ物を与えないで下さい。)自らももう片手に持ったサンドイッチを食べながら、アは愛おしげに猫ユを見つめる。やがてサンドイッチを食べ終わった2人。そういえば、とアが切り出す。「なあユリウス。お前いつ戻るんだ?戻れるんだろうな?」「ふにゃん」そこはきちんと抜かりのないユである。トントン、と前脚でレポートの最後の部分を指し示す。「……効果は半日で切れ、元の姿に戻る……。ん、戻れるなら良かったよ」「にゃう〜」「さて、俺はこれから仕事なんだが……お前はここにいるか?」そう問われた猫ユは、ふるふると首を横に振ると、徐にアルベールの肩へと飛び移り、もっふりとした尻尾を彼の首へと回した。「ははっ、一緒に行くのか?わかった、今日は俺の側を離れるんじゃないぞ」「にあぁ」
    猫ユはその日1日の大体をアの肩の上で過ごした。そうしてあっという間に1日が終わり、夜。研究室に戻ってきた2人。存分に甘やかされて良い気分の猫ユだったが、アの表情は優れない。「なあ、半日ほどで戻るんじゃなかったのか?」「……にゃ」薬を飲んだのは朝の7時ごろ。今は夜の21時過ぎで、とっくに半日は過ぎている。どうするんだ戻らなかったら、とアは随分不安げだ。もしかしたら実験は成功したと見せかけて失敗だったのかもしれないなとユは思う。このまま猫の姿から戻れないのかもしれない。自分としてはこのまま戻らなくてもずっとアに素直に甘えることが出来るならそれでも良いと思ってしまった。でもアにとっては違うだろう。こんな私でもアは国を復興し盛り立てるために必要だと言ってくれる。私の研究や頭脳をあてにしてくれる。なのに急にその人員がいなくなれば確かにそれは困るかもしれない。共に並びたち戦うことももう出来ない。ユは考えなしだった自分を恥じた。申し訳ないと項垂れる。そんなユの頭を一撫でしたアは、困った顔のまま、研究室に備え付けてある仮眠ベッドに寝転がった。そしてユに、おいで、と囁く。その腕の中に飛び込むユ。アも慣れない出来事に気を張っていたのだろう、ウトウトとしている。その眠たげなアの顔を見ながらユはすっかりしょんぼりしていた。やっぱり私は役立たずだ。君にとって何も有益でいられない。こんな体たらくでよく君を好きだと思えたものだ。情けなさでいっぱいになるユ。そんな気配を察したのだろう、「落ち込むなユリウス、俺がどうにかしてやるから……」と半分眠りに落ちながらアがユの頭を撫でた。その優しい言葉にユの目には涙が滲む。ああ、ああ、やっぱり大好きだ親友殿。「にやあ……」ふと立ち上がったユはアの顔に自らの顔を擦り寄せる。迷惑をかけてすまない。君の役に立たなくてすまない。けれどどうか、もう人間に戻らなくても、どうか君の側に置いてもらうことが出来たなら。じわじわと滲む視界のまま、ユはもうほとんど眠りに落ちているアの唇にそっと口付けた。その瞬間。
    ポン!とやけに軽快な音が響いた。
    「…………え」「ユリウス!」アの顔の間近で間抜けな声を上げるユに対し、ばちっと目を覚ましたアの行動は早かった。未だぼんやりとことを把握できていないユを強く抱きしめたのだ。「良かったあああお前、元に戻ったんだな!」「……そのようだね」でもどうして……と呟くユに、ちょっと頬を赤らめたアは言う。「それはお前……よく物語であるだろう、王子様のキスで呪いが解けるとかなんとか……」いや決して俺が王子様とかだと言っているんではないのだが物の例えでな!と恥じらって吠えるアにユの顔も赤くなる。「……君、私が……その、キスして嫌じゃなかったのかい?」そう問うユにアはぽかんとする。「嫌なわけないだろう?」そう言ってアはユから視線を外す。「そもそも俺はお前のことがずっと、すっ、す、好きだったんだからな」だからさっきのお前からのそのキス、その、俺と同じ気持ちだと取っても……いいんだろうか……。徐々に声の小さくなるアに、ユは涙目になりながら「うん……うん……!」と頷いた。気持ちを通い合わせ、顔を見合わせて微笑む2人。しかし急にアが顔を赤くしたかと思うと、徐にユの体にシーツを巻き付けた。「その……お前の裸が目に毒でな……。でも大事にしたいから今日は抱かない。だから早く服を着てくれ」そういって顔を真っ赤にしそっぽを向くアに、ユもまた頬を染めて困ったように笑ったのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💯💘🙏❣👍💒🙏💕💒😍💝🇱🇴🇻🇪♥❤❤💞💞💞😍🙏😭👏💯💞💒☺👍💴💴💴😭💘👏💖🍼👍💖💒☺💯💖💕💯💒❤💯💲🅰ℹ©🇴⛎❤❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works