ゲリラ豪雨とは突然来る、これはやはり地球温暖化の影響だろうか。
なんて考えながら傘もなく、仕方なしに走るドクターの目はソレを捉えた。
共用ゴミ捨て場前に白い塊が落ちている。掛布団を袋にも入れず捨てたのかと考えながら走り抜けた。しかし激しい風に煽られ、白い尾が踊るのが見えた。
「猫?」
そう、口に出ていた。
どしゃぶりの音で足音は消えているのに、恐る恐る近づく。
野良だろうかと、そっと覗き込むが45リットルゴミ袋よりも大きい。かなり大型の猫が無残にも、ぐったりとしゴミのうえに倒れ込んでいた。
「なんて酷い事を…」
気の毒になり、びしょ濡れの毛を撫でると、丸みのある耳がピクリと反応した。
生きている。
そう思った瞬間ドクターは急いでトレンチコートを脱いだ。
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