まどマギの映画パロ「無理もねえって。3年振りだし…さ。」
次に目を覚ますのはあんたが死んだ後だと思ってた。何の因果か、あの日から丁度3年目に俺は目を覚ました…らしい、未だに意識はぼんやりしていて、視界が揺らぐ。
思考も上手く回ってない。きちんと分かることは、目が覚めた時に俺の憧れの人がいたこと、それから、あんなにかっこつけたのにすぐ起きたことがすげー恥ずかしいことくらい。
「…三年も経ったのに、あんたは出会った時から何も変わってないような気もするんだ。むしろ、変わったのは…そう、どっちかっていうと、俺…?」 「っ!」 「そう、俺には、もっと違う姿、違う役目があった気がして…。それが、どうして…。変な話だってあんたは笑うかもしれないけど…聞こえるんだ、意識の遠くで、…扉を開けって…俺は…わ、たし、は…。」
ぐらぐら。
酷いめまいだ、視界が揺れて。頭の真ん中から俺がひっくり返るみたいな気持ちの悪い感覚。
誰かが、叫んでる、この街はにせ「っあ!?ひろし…!お前何してんだよ。」 身体を襲う衝撃に目を見開いた。ぎゅう、と抱き込まれる体勢は、ひろしが好きで、俺が嫌いなものだ。ひろしは俺の肩に顔を押し付けているから、顔は見えない。代わりにいつもより暗く、そして達観した声が響いた。「大丈夫、お前は間違いなく、本当のお前のままだ。」 「え…?」 「グ・ラハ・ティア、お前は、この世界が尊いと思うか?……欲望よりも秩序を大切にしてる?」
突然、どうしたっていうんだろう。でも、どうしてかは分からないけど、考えるより先に口は開いていた。
「え、それは、えっと、その…、俺は、尊いと思うよ。やっぱり、自分勝手にルールを破るのって、悪いこと…だろ。」 「そうか、なら、いずれお前は、俺の敵になるだろうな。……でも、構わない。それでも、俺はお前が幸せになれる世界を望むから.....」
今にも泣きだしそうで、それでも幸せそうな表情の裏に、隠された冒険を聞いてしまえばあんたの幸せを壊してしまう事だけは理解が出来た。
あんたが何を言っているかなんてわからない、分かっちゃいけない。
俺は考えることを放棄した、それは同時に、開かれた檻に俺がのこのこと入り、自分で鍵をかけたということだ。
「ひろし.....?」 赤色のリボン。…いや、違う。赤くて、ぼろきれみたいな布をリボンみたいに俺の髪に結んだ。「やっぱり、お前の方が似合うよ。」
俺の一番憧れの人は、見惚れてしまうくらい綺麗に笑った。