名探偵エレイン 妖精のお姫様であるところの聖女エレインは人間の郷に暮らすようになって、お金というものに対してほんのちょっぴり理解を深めたのでした。
「私もお金を稼いでみたいわ!」
「いいんじゃねぇか♪ 花屋でもやっか?」
そう笑顔で提案するバンの頭の中は、すでにお花屋さんのエレインの姿でいっぱいです。
『いらっしゃいませ。どんなお花をお探しですか? おすすめはこちらですよ』
白いエプロン姿の聖女が笑顔でなんかこう、きれいなお花を勧めます。バンはお花の知識が皆無なので、この辺の妄想はあやふやです。
『そうだな、お前がイイ♪』
『もう、変なおきゃくさん!』
お花だらけです。
けれども聖女は、大好きなバンの提案にもかかわらず首を横に振りました。
「私、たんていじむしょをやるわ!」
そういう彼女の手には、探偵ものの児童書が!
色々察したかしこい息子のランスロットはそろそろ止めたほうがいいかな、と思いましたが、お父さんのバンの頭の中のお母さんが、お花屋さんエレインから名探偵エレインに変身した事に気づいてしまったのでツッコミは無駄だと諦めました。
『事件はもう解決してるわ。バン、貴方ね。私を奪ったのは!』
『カッカッ♪ やるな、流石は名探偵だぜ…♪』
『でもあなたの負けよ。だって私も奪い返したんだもの……貴方自身をね!』
『負けたぜ♫』
「オオオ……それもいいじゃねーか、なぁランス♫」
「……母さんがやりたいなら、まぁ」
「ありがとう、ふたりとも! 私……やります!」
聖女探偵事務所、開業です!