「とにかく物が増えて困るんだよな……」
そう零したのは大衆居酒屋でのことだった。シーズンオフになり、どうせみんな日本に戻っているなら集まろうぜ! ということになったのだ。そうして集まったのが自分を含めて凪、そして二次セレクションでチームを組んだ千切と國神だった。あとは千切が声をかけたという潔と蜂楽。その他にもそれぞれ好きに声をかけたのだが、結局いま残っているのはこの六人だけだ。ちなみに他の連中は別卓の見知らぬ女性たちに声をかけ、知らぬ間にいなくなっていた。よくまぁ、勇気とバイタリティがあるものだなと思う。
そんなわけで、目下の悩みである"物が増えて困る"という愚痴を聞いてくれる人間は五人しかいなかった。いや、隣に座っている凪は飲み会の空気にすら飽きてゲームをしているから実質四人か。千切は「ふーん」と興味がなさそうに相槌を打ち、蜂楽は「だったら売っちゃえば?」とこれまた薄っぺらい言葉を返してきた。どいつもこいつも薄情な奴らである。
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