めだまくんのともだち媚薬事件の日。龍くんのお陰でお部屋に戻っためだまくんのその後のお話。
「そろそろ起きたら?」
聞き慣れた中性的な声に目を開く。
気だるい体を起こすと、気が付けば夕暮れで西日が部屋に差し込んでいた。
「…すげぇ寝た。」
先程までの体が煮え滾るような熱は無くなり気だるさはあるがスッキリとしている。
「あんたが媚薬とかに引っかかるとか意外。相手の居ないかわいそーなあんたを助けてあげた命の恩人にお礼の一言は?」
中性的な声の主はなだらかな胸を誇らしげに張らせ、長い黒髪を片手で軽くかきあげる。
昔から性別がどっちなのか解らない俺のともだち。本人も解らないらしいがさほど気にしていない。
「感謝します、マリア様。」
「マグダラのマリアってか?うっせーな。てか。大昔からのセフレより、部屋まで送ってくれた優しい子でも食べときゃ良かったのに!そーんな意気地無しだったか?」
「ははっ俺、そんなに遊んでそうに見える?」
「見えるな」
「ひでぇ」
深くため息をつきながらまたぼすんっと枕に埋まる。
「…人の親切心につけ込むとか出来ねーし、合意じゃねぇと嫌なの知ってんだろ?」
「…そーいやそーだったな。まぁ従兄弟ちゃんの事もあるしな。ん??…おい。俺様の親切心はー??」
ぐぎぎっとヘッドロックをキメられながら問いただされる。知り合った頃からこんなやりとりをよくしている。手加減されてるのも知ってる。
「あ"〜ギブギブ!!大変に慈悲深くあらせられる〜!慈悲の塊〜!!」
「このマヤ様の慈悲を軽んじるなよ?マジでもっと敬え?」
「って、言っときながらさっきまで俺の下でアンアン言ってたの誰だし。可愛かったよ、マグダラのマヤ様」
「うっせばーか!」
マヤとは割り切った関係のセフレであり親友でもある。彼(彼女)は性別がない。それに恋愛感情というものが欠落していると言った一般的な視野で通すと少し複雑なタイプだ。
人並みに性欲はあるものの、友愛以上のものにならないのだ。
「あんたが俺を使わない日が来ることを願うよ。俺とは違って、恋愛感情ってのが解るんだからさ。」
「…まぁ見守っててよ、女神様。」
そんなめだまくんのちょっと変わったともだち。
終り
(余談)
Q.マヤ様の体の性別は?
A.ご想像にお任せします。
無性別のアロマンティックなマイノリティです。因みにヘッドロックやらエルボーやらをめだまくんに教えたのはこの人。
Q.めだまくんって誰が好きなん?
A.今の所中の人も解らない。まだまだめだまくんと手探り。純粋に手を差し伸べたい人がたくさん居るそんなシェアハウス…😌