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    転生の毛玉

    あらゆる幻覚

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    転生の毛玉

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    金曜日の話を酒によった勢いの間に音声入力!

    #運命の交差点
    crossroadsOfDestiny
    ##チュンノベ

    金なる夜や目が覚めた。または醒めた。頭が痛かった。ここはどこだ。見上げればどこか荘厳な雰囲気だ。あぁ。分かった。七曜会の本部の上のフロアだ。
    体を起こした。重たかった。考える。まもなく、二日酔いだと気がついた。頭の奥がジンジンと痛む。頭が勝手に下に行く。重力に負ける。
    左手を動かす。指の先に何かが触れる。
    「…?」
    頭を動かすのが面倒くさいから、指先でそれをつまんで目の前まで持ってくる。一万円札が三つあった。つまり合計3万円。何が買えるかな、なんてぼんやり考えてしまった。頭が働かないもんだから、何も思いつかなった。
    「お目覚め?日曜日」
    「待って…俺は、日曜日か…?」
    「ええ、日曜日」
    それは顔を向けるまでもなく、日曜日の声だ。頭の裏に、勝手に白いスーツが思い浮かばれる。真っ赤なルージュが思い浮かばれる。整った眉が思い浮かばれる。
    「俺、何してたんだっけ」
    「あらまぁ」
    日曜日は楽しそうにカラカラと笑った。人が頭が重くてぐらぐらしてるのに、カラカラ笑うなんて。趣味が悪い人だ。と、心の奥底で思った。
    けど、酔っ払ってるのはきっと自分のせいだ。だから、これ以上は何も考えないことにした。
    「一人で行ったのよ」
    「どこに」
    焼けつきそうに、かさついた喉で尋ねる。
    「脅迫に」
    「誰を」
    「そんなの、知らないわ」
    「知らないことあるか」
    俺は所詮日曜日の手のひらの上で踊ってるマリオネットなんだぞ、って言ってやりたかった。マリオネットな自分に酔っているのかもしれないし、酒に酔っているのかもしれない。マリオネットな自分が好きなのかもしれないし、繰師としての日曜日が好きなのかもしれないし、その何でもないのかもしれない。けれど日曜日はあいも変わらずカラカラと笑うのだ。
    「知らないものは知らないの。あなたが勝手にやったの、日曜日。流石ね」
    日曜日の妖しい微笑みを、素直に綺麗だと思った。だから、言葉の意味なんて考えてなかった。ただ、褒められたような気がしたから、小さな声で、ありがとう。と答えただけだった。日曜日は笑った。
    「流石ね、日曜日」
    「それ、さっきも聞いた」
    「3万円分。もう一度言ってあげる、流石ね、日曜日」
    俺はそれを聞く前に、闇に飲まれた。それは睡魔だった。
    睡魔だった?
    本当か、ね、それは。知らない間に、脅迫のサディズムに目覚めた果なのかも知れなかった。けれど、そんなの俺の知ることじゃなかった。知らないのだから、ただ眠ったのだ。
    眠って目覚めたら金がそこにあるなんて。
    歯が抜けた朝以来じゃないか!
    俺はぐらつく歯を舌で翫ぶ子供のような気分になってまどろんだ。
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