Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    oiko04588759

    @oiko04588759

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 12

    oiko04588759

    ☆quiet follow

    おめがばーす監フロ

    監督生くんはあるふぁでフロイドくんはおめが。
    しかし監督生くんの知っているおめがとは違うようで…?

    ちっちゃい監督生くんと横暴なフロイドくん この世界に来てから、監督生の世界は変わった。
    不思議な動物、よく分からないはっぱとお花。ちんぷんかんぷんな魔法の方式。きれいに瓶詰めされたびっくりするぐらいビビットカラーなお薬たち。
    あっちこっち小さい体をいっぱい使って、もぐったり、走ったり、歩いたり、飛んでみたり、泳いでみたり。(この世界での飛んでみたり、は正しく空を飛んでみること!)

    まだ幼い監督生は、魔法の世界をおおいに探検し、ちょっぴり苦手なお勉強だって頑張っている。ボロボロなお屋敷全部をお掃除するのはとてもとても大変だったけれど、エースやデュース、グリムたちの力を借りて、外見こそボロボロかもしれないが、中に入れば驚くぐらい住み心地が良さそうなお屋敷になったのだ。知らない街、知らない国、知らない世界で一生懸命生きている監督生を、周りの大人たちは無関心そうにみている。けれど学園長からのお仕事やお勉強を頑張ると、1人の子供と1匹のモンスターが暮らすには十分な量のお給金をくれるので、まったく監督生は困らなかった。

    そんな中でも驚いたのは、人魚や妖精が実際に会えること!すごくびっくりした!ほんとにほんとにいるんだ!
    だから監督生はオクタヴィネル寮や、サバナクロー寮、ディアソムニア寮によく遊びにいく。そのほとんどは学園長からのお仕事だが、オクタヴィネル寮の天井まで伸びる大きな水槽や、サバナクロー寮のスリル満点の荒地、ディアソムニア寮の不気味な森を好んで探検する。1人じゃ危ないからと、友達が一緒に探検してくれる。ジャックと荒地を追いかけっこしたり、角の生えた大きな友達(名前はまだ教えてくれない。なんでかな?)と大きな木の下でガーゴイルや故郷の話をしたり、小魚やサンゴがきらめく水槽を眺めながらエース達とご飯を食べたり。大人たちは無関心そうだが、学園の生徒はそうじゃなかった。素直で無邪気で純粋な監督生が、元気いっぱい生きているのをみるのは、このひねくれ者たちの集まりの中では貴重な癒しだった。だからよく面倒をみたし、勉強もよく教えてやったりした。監督生はみんなのちいさい弟みたいなものだった。


    つ が い !
    なんてすてきな響きだろう。監督生はそのあまりのすてきさに、洗いたてでお日様の匂いがするシーツに思いっきり飛び込むみたいに、ピョン!と飛び跳ねた。

    「だってさァ。あいつウゼーんだもん。ベタベタされんのオレ嫌いだし、さっさと番解消してもいい?」

    「ダメですよ!監督生さんにはとんでもない価値がある。魔力が全く無い、なのに未だ生命活動になんの支障も出てない。さらに幅広いコネクション!そして異世界が存在することの生き証人ですよ!商売になりすぎる!」

    「マァ彼、大変幸せな脳みそをお持ちのようですしねぇ。それにまだ子供だ。いくらでも制御の仕方はありますよ、フロイド」

    「そうですよ。魔力無しで非力、おまけに酷く素直で幼くいらっしゃる。これほど扱いやすい小エビもいないだろ?」

    「そっかァ、ま、いっか。飽きたらアズールにあげるぅ。いくらで買う?」

    「それは結構。価値があるうちだったら考えておきます」

    きぃ、変な音がした。なんだろうと思った。なんなんだろう。って。思った。息、今、できてる?わからない。わからないから、そこから逃げたい。逃げる。逃げた。

    ジェイドは瞳を閉じた。彼の足音が遠ざかっていくのを聞いていた。これは慈悲だ。ほんの少しだけ隠蔽魔法を。こちらからの声がクリアに聞こえるようにシンパシー魔法を使った。アズールとフロイドには気づかれないように。そして彼の立場がどんなものか知らせるために。ふ、と瞳を開けた。にんまり笑った。これからどんなことが起こるかとても楽しみだった。

    「は〜…ホントだるい。眠い。小エビちゃあん。寝るよぉ」

    最後の機会かもしれない。
    幼いながら監督生は、ここでフロイドとの番契約を切ることが、全ての事において最適解であると理解した。
    彼らは自分の世界のオメガとは違う。
    ここではαとΩは逆転しているのだ。
    だからΩから番契約を切る事も出来るし、何人も番を持つことが出来る。
    番契約を切っても。フロイドには何も影響しない。
    自分が異世界からの渡り人であってよかった。
    きっとフロイドは、自分が(α)契約を切れると知らない。
    そっとうなじを撫でる。そして。

    静かに眠る番だったフロイドを見て。
    さようならと呟く。
    返事はなかった。

    たくさんお話したかったし、いっぱい一緒にいたかった

    監督生の心はぽっきり折れた。まっすぐまっすぐ育った心は、どんなときでもひたむきで素直だった心は、まっすぐなまま途中で折れた。修復不可能なほど粉々に踏みにじられ、もう元の形を忘れてしまった。

    それでも監督生は善良だった。こんなに酷く踏みにじられ、悪意と無関心を向けられても。彼の性根は変わらなかった。それはもう監督生の魂そのものがそんなふうにできているとしか言いようがなかった。

    ごめんなさいと伝えてください
    そう学園長に告げた。そうすることしか思いつかなかった。ベタベタしてごめんなさい。思い上がってごめんなさい。番になって、ごめんなさい。あなたを好きになって、受け入れられたと思って、あなたの本当の気持ちにも気づかず浮かれて、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
    学園長は彼の頭をゆっくり撫でた。そして、分かりましたと告げた。


    がくん、と目を覚ます。嫌な夢だ。忘れたい記憶だ。
    もうあれから5年もたったのに、まだわすれられない。

    深海よりも冷たい蒼の人影は掻き消え、変わりに春の花びらのように柔らかな微笑みが刻まれた。
    その日は随分と久しぶりに幸せな夢を見た。

    今日こそ。
    今日こそ彼女に告げるんだ。自分を選んでくれた彼女に、番になって欲しいと言うんだ。

    姿見で念入りに姿を確かめ、彼女の元へ、明るい日差しに向かって駆け出した。






    「小エビちゃん♡」






    ガッ、ゴトン。


    ラッピングされた花のネックレスが床に落ちた。







    「ハ〜〜♡まァじいい匂い♡小エビちゃんの匂い久しぶり〜〜♡めっちゃキマる♡」

    どうして。

    「会いたかったよ小エビちゃん♡ひでーじゃん、番置いてくなんてさァ」

    どうして。

    「も〜さ〜マジ疲れたわ。この5年?6年?異世界召喚とか時空転移の論文とか、平行多元宇宙と相対性理論の可能性とか?頭バカんなるかと思った」

    どうして。

    「ねぇ♡こ〜んなに頑張ったオレにさぁ、なんかないの?」

    どうして。

    「ねぇ、ねぇ」

    ど──「おい」

    ぎゅりりと皮膚と皮膚が摩擦で擦れる音がする。
    「シカトこいてんじゃねぇよ」首が大きい手に巻き込まれて、喉が、締まる。ぎゅち、ぎゅち、音が。あ。
    ぐらり、眼球が裏返りそうになったとき、パッと手が首から離れた。体が崩れ落ちる。カッ、キュゥ、ヒュウ、と出鱈目な呼吸を繰り返す。

    「な〜んて♡怒った?オレも怒ってるよ」

    「あんなにあんなにオレに対して求愛してたのに、自分が帰れるとなったら即捨てるんだもんなぁ。ねぇ、オレってその程度だったってこと?ふざけんな」

    「ふざけんじゃねぇよ。お前、お前の匂いがないと眠れないのに、お前が好きって言ってくれないと、お前がオレに貢がないと、お前がオレに笑わないと、」

    「ああああホントに嫌だ。嫌だ。こんなん嫌だ。何でオレがこんなに縛られなきゃなんねーの?ふざけんな、ふざけんなよ!!!」

    「でも大丈夫♡オレは許すよ。全部許す。ねぇ小エビちゃん、あの海に浮かぶゴミみてぇなクソメスが番だなんて言わないよね♡オレが番だもんね♡返事しろよ」

    「ダ〜メ♡逃げんな。ほらこっち来て〜♡怖くないよ〜♡」

    怖い。怖い怖い怖い!
    そもそもなんで?ここはどこだ?何が起きてる?怖い。駄目だ!考えなきゃ。怖い。ああ近づいてきてる。怖い。
    金色に光ってる。ああ。どうすれば。ひっ。来ないで!
    闇雲に駆け出す。暗くてよく分からない。見えない!「あは♡狩りごっこぉ〜?上等だよ。ほらほらほらぁ!!もっと上手く逃げろよ小エビィ!オキアミ以下かノロマァ!走れ走れ走れ!あはあはあははは!」ひっ。ひっ。嫌だ。捕まったら。あ!やだ!来るな!逃げる。逃げる逃げる。振り切れない。そもそも走ってすらいない。遊ばれている。「どうちたの〜?♡怖くて走れないのかなぁ〜?♡がんばれ♡がんばれ♡あんよが上手〜♡あまったれんなクソガキ。死ぬ気で逃げろ」ああ。あああ。どうしたらどうすれば。

    帰りたい。彼女の元へ帰りたい。あの暖かな日差しへ──

    バン!!!

    けたたましく重い音がした。薄暗い視界で、恐る恐る後ろを振り返る。途端、息が出来なくなった。
    こちらを見ている、ああ、その顔は、…目を逸らすことが出来ない。一切の挙動が許されない。何も考えられない。全てが彼に集約する。
    沈黙。
    波形が、切り替わった。一本の線が、大きく凹む。静けさが耳に痛い。「…ぁあ」たわんだ線は、弾みをつけて一気に跳ね上がる。

    「ぁあああぁぁあッッ!!!!」

    びりびりと肌に叩き付けられる衝撃と魂まで響く咆哮。
    ダンダンダンッ!!叩きつけられる足。激しく首を振り回しながらぐしゃぐしゃに描き毟られる頭。唸り上げながら蹲り、苦しみ踠きながら口から狂気が流れ出す。

    「小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。小エビちゃん。…オレの小エビちゃん」

    何もかもさらけ出して喚く彼の瞳から、何かが零れた。
    それだけは鮮明に見えた。
    咄嗟に駆け寄って抱き締める。暴れても殴られても跳ね除けられても。何度でも駆け寄って抱き締めた。
    何をしているのか自分でも分からなかった。それでも抱き締め続けていた。多分骨が折れたと思う。爪が当たって肉が深く抉れたような気がする。変な所に当たった拳が、臓器を駄目にしたかもしれない。痛みは尋常なものではなかった。でも背中に回した手だけは離さなかった。
    どれくらい経ったか分からない。弱々しく手が首に回って、力を込めようとして失敗し、そのまま首の後ろにまで手を伸ばして抱き締めた。項垂れた頭を項に擦るようにして抱え込んだ。

    「小エビちゃん、おっきくなったね。前は俺がギューってしてもすり抜けちゃうくらいちぃちゃかったのに。今はこうやって抱きしめられちゃうね。背中に手なんか回せなかったのに。今ではオレをギューって出来ちゃうんだね」

    かふ、と声を出そうとして失敗した。
    痛みはとうの昔に通り過ぎて、今はただ寒かった。
    死にかけている自分を見て、彼は目を見開いた。すぐさま抱え上げられてベッドに寝かされる。
    固く繋いだままの手はどうしても外れず、彼はそれを見て泣きそうになりながら魔法で瓶を取り出した。
    じわじわと指先が冷たくなっていく。視界の端が黒く染まる中、瞳に映った彼の顔が近づき、そのまま唇が重なった。何かが流し込まれていく。飲み込み切れなくて顎を冷たい液体がつたう。かつて見た事がないぐらい真剣な顔で、必死に何かをしている彼を横目に、視界は閉ざされていった。




    きゅいきゅいと高く細い音がする。
    重い瞼をようやっと開けると、薄藍色の頭が見えた。青みがかった影が室内を満たしていた。手を伸ばそうとして、自身の手がやけに薄っぺらくなっているのに気づく。
    視線を動かすと、枯れ木みたいな腕の真ん中に針が刺さっており、管が傍らに佇む液体の入った透明な袋に繋がっていた。
    声を出そうにも喉が酷く乾いていて、口も強ばって開けるのが難しかった。
    上げようとした手の力を抜く。
    僅かな振動で眠りから覚めたのか、フロイドは思い切り顔を上げた。

    「…小エビちゃん。小エビちゃんっ、あああ…ああああん、うあああぁあんっ」

    慟哭が聞こえた。
    泣きじゃくっているのに、確かに顔も悲愴に歪んでいるというのに、涙は一雫も零れておらず、ただただ泣き喚いていた。
    全く違うのだな。
    自身の記憶から出される彼の情報との乖離に呆然と空を眺めていると、

    「えっちしよぉよぉ、小エビちゃんもう起き上がれるでしょぉ」

    「ね♡ね♡小エビちゃぁん♡お願い♡」

    「…どこいくの。離れんなッつたろーが。いかせない。もう、もうどこにもいかせねーからな。……や、やだ…やだ…いくな…いかないで…んっ、ふぅ…ぁ…」

    「はーーっ♡はーーっ♡っあは♡小エビちゃん♡すきすきだいすき♡子ども作ろ♡オレと小エビちゃんの子ども♡元気な赤ちゃん産んであげるからさぁ♡子作りしよーよぉ…♡」

    「ぁ…やぁ…」






    「ん、んふふ…はぁい。んゅ、ふぅぅ…」

    軽く唇をくっつけ合いながら緩やかに体を撫であう。見つめあった瞳は今にも蕩け落ちそうで、その雫は千年紡いだ蜜よりも甘いのだろうなと艶を取り戻した髪を撫でる。


    カタカタと体が震える。










    「ちゅーしよ。ね。口開けてよ。……あ〜〜…ん、んん」

    「ギューってして。ほら、ん。頭も撫でて」

    「一緒に寝よーよ。…何もしないから」

    …こんな風に過ごしたかったと、今になって思い出す。もう叶わぬ夢だけども。彼と通じ合って、支え合って、想いあっていけたらいいと。彼が何処かに行っても、戻らなくてもいい。何年だってずっと待っていられる。…いや、寂しくなったら追いかけて行けばいいのだ。それを許される信頼が欲しかった。絆が、欲しかった。一緒に生きれずとも、そこに何かがあれば良かったのに。
    見下ろす彼の顔は随分と変わっていた。青黒い痣のような隈が目の下に染み付いているし、髪だって。身体だってそうだ。末期の患者のような死の匂いが染み付いている。
    どうしてこうなったんだろう。
    涙がとつとつと流れていく。
    どうして。
    思わず顔を覆った。
    どうして幸せになってくれなかったんだろう。
    ああ。こんな傲慢な人間になりたくなかった。

    「…泣いてるの?……ん、甘いね。泣いていーよ。もっと泣きな」

    彼が手を外して、目元に口付けて涙を吸う。
    止まらない涙を口に運び続け、優しい吐息で慰める。
    誰のせいで!お前の!……お前の…お前が…自分が。どれだけ…でも、でも…泣かせてしまった。ああ。こんなに悲しいのは。確かにそれは。……どうしようもない。どうしようもなかった。涙が止まらない。止まるはずもない。

    「ん、ん…あま…ん、ん…」

    恍惚と番の涙を飲む彼は、それはそれは幸せそうで、ああ。逃げるだとか逃げられないだとか。そんなものは最初からなかった。どこにも。彼にも。自分にも……何て様だ。笑えてしまう。笑えなかった。彼にいつも言っていた言葉。もう言えない。何もかも、お終いだ。今度こそ。

    「小エビちゃん。ありがとう」

    ひっそりと囁かれた言葉は、ただ耳の奥をすり抜けていった。






    「監督生くんは元の世界に帰りましたよ。フロイドくん、君に伝言を預かっています」

    ごめんなさい?何が。
    俺が傷つくとでも思ってんのかなァ。あの小エビ。
    ま、ちょうど良かったや。飽きてきてたし。鬱陶しいのがいなくなって尾鰭がすっきりした〜。
    それにしてもアイツ、こんなタマだったんだ。番に何も言わないで捨てるような。あんなペコペコ俺にまとわりついてきておいて。へぇ〜、いい度胸してるじゃん。

    眠れない。

    いつも気分なんてすぐ変わるのに、地を這うような機嫌のまま。いつもイライラする。全てにおいて腹が立つ。匂いが気に入らない。音が気に入らない。味も、空気の感触も。
    気分が変わらない。ずっと。

    後ろから名前を呼ばれた気がして反射的に振り返る。
    当然そこには誰もいない。がぢ、と歯をかみ締めて、そこら辺にあったゴミ箱を蹴り飛ばした。
    蹴り飛ばした後に、ゴミ箱があった位置に何かが落ちてるのを見つける。ほっとけばいいのになんでか気になって拾う。

    ツーショットで笑っている小エビちゃんと俺。
    小エビちゃんの顔がぐちゃぐちゃにされている。
    その裏に殴り書きがあった。

    フロイド先ぱいに最後に出来ること。
    1番好きなものをあげること。


    あぁ。
    あぁああ。
    ああぁぁあ!


    あは。
    あははははは。
    大丈夫。大丈夫だよ小エビちゃん。
    1番好きなもの、貰いに行ってあげる。

    だからさぁ。
    いつもみたいに俺にあげてよ。
    今度はありがとうって言えるからさ。



    フロイド・リーチと仲間達がトラウマになった元監督生と自分の物を取りに来たフロイドくん
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤😭😭😭☺☺👏👏🇱🇴🇻🇪👍💞💞💞👏👏👏💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works