Happy Valentine Day 「「できた!!」」
二人の声が借りた家庭科室に響く。日付は2月14日。つまりはバレンタインだ、お互いに作ったものを送り合おうと約束した俺とユウキちゃんは学校の家庭科室を借り、二人して互いに贈るものを作っていた。とはいうが、作るものも一緒だったけれど一緒に作ったという事実が嬉しいのだからそこのあたりは特に問題はない。
「えっと、じゃあ…ユウキちゃん…俺からのバレンタインチョコ、受け取ってくれる?」
試行錯誤の末我ながら割と上手く出来た方のラッピングに包んだチョコを手渡すとにっこりと笑ってユウキちゃんは受け取ってくれた。
「ありがとうございます、嬉しいです」
「はー…一緒に作ったっていうのに緊張した…」
息を吐き出す俺にくすくす笑いながらユウキちゃんは俺よりも可愛らしい、女の子らしいラップで包んだチョコを俺に渡してくれた。
「カムイ先輩、私からも。ハッピーバレンタイン、です」
「あっ、ありがとう…うわ、嬉しすぎる…」
赤くなってしまうのを自覚しながら受け取るとくすくすとユウキちゃんは笑って、そして俺たちはラッピングを外すと淹れたばかりのお茶と一緒にティータイムをすることに。
「俺こんなふうに上手にお菓子作れたの初めてだよ」
「だったからこれから一緒にたくさん作りませんか?ゼンジさんも喜ぶと思いますし」
「それは確かに…」
甘い物好きの爺ちゃんのことなら食べれるだけで喜ぶに違いない、とその顔が思い浮かんで笑った。
「じゃ、片付けて爺ちゃんにもチョコ届けに行くか!」
「はい!」
きっと爺ちゃんは満面の笑顔で歓迎して喜んでくれるだろう。それが楽しみになりながら二人並んで洗い物をした。