熱中症ぎゆとお世話する伊黒さん夏休みはとっくに終わったものの、まだ残暑厳しい日が続いている。特にここ最近は秋とは思えない記録的な猛暑日で、室内にいても冷房なしでは過ごせないほどであった。
朝の服装チェックを終えて職員室に戻ってきた義勇は、自分のデスクに辿り着く前に大きくふらつき、慌てて駆け寄った実弥に支えられた。
「……と、危ねェ。大丈夫かァ?」
「すまない、ありがとう。……少し目眩がしただけだ」
「貧血かァ?しっかり食べねェと駄目だぞ。体育なんて特に体使うんだからよォ」
「……ああ。善処する」
炎天下でずっと立っていたのだから、気分が優れなくなるのも無理ないだろう。同伴している風紀委員の生徒たちは時間で交代させているが、義勇自身は最初から最後まで立ちっぱなしである。改めて、風紀委員顧問という仕事の過酷さを痛感すると同時に、教師が誰もやりたがらない理由が分かった気がした。
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