「なぁ…オイラがアンタに惚れるのは、そんなにおかしいことなのか?」
「お、おかしいっていうか…」
「オーケーわかった。じゃあ相手がアンタじゃないとしよう。オイラが惚れた相手に無碍に扱われて、それでもめげずに口説いてるのに更に逃げられてる様子を見たらどうだ?気の毒だと思わないか?」
フリスクは確かにサンズに恋心を抱いているが、それ以前に強い親愛の情がある。
彼が地下世界の繰り返す時間の中で気力をすり潰され、期待することや希望を持つことに疲れていたことを思えば、彼が再び望みをもつことや求めることがどれだけのことか。完全に理解することはできずとも想像はできるからだ。
サンズの望みは出来うる限り叶えば良いと心の底から思っている。
「まあ相手はアンタなんだけどさ」
問題はそこだった。
「なあ、もう一回聞いていい?」
細く硬い骨の指がフリスクの右手を掬い上げる。
「オレがアンタに愛を乞うのは、そんなに迷惑か?」
「そんなこと!」
フリスクは首を大きく振って否定した。サンズが一瞬眼窩を丸く見開く。
思い出したように頰が熱をもつのを感じながらフリスクは視線から逃れるように俯いた。
「ただ、ぼくは…キミに好かれる理由が、わからない」
「『ワタシのどこがスキ?』ってやつ?」
急に裏声で言うものだから、フリスクは思わず頰が引き攣る。こんな時にまでこの骨は。
「そういう甘ったるいのじゃなくて!」
笑いそうになるのを噛み殺して、サンズを睨み上げる。ニヤニヤと笑う口元、眼窩の奥の白い光。
「順を追って話すよ」