永遠を名乗る一秒 今日は恋人である七海くんの誕生日だ。盛大に祝ってあげたいところだが、短くない付き合いで彼について理解したことがある。
どうやら誕生日を祝ってもらうことに忌避感があるようなのだ。忌避感というと語弊があるかもしれない。苦手というか、祝われることに疑問を感じているというか。
彼自身、無自覚なのだと思う。言語化できるほど明確な気持ちではないのかもしれない。もちろん私からのプレゼントを拒絶したり、不機嫌だったりするわけではない。ただ、お祝いを受け入れ難くする戸惑いのようなものが七海君の心の中に存在しているみたいなのだ。
その原因はきっと学生時代にある。七海くんは高専時代に、ただ一人の同期である灰原くんを任務で亡くしている。素直で快活な灰原くんは、気難しいところのある七海くんの数少ない心安らげる相手だった。
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