【学パロ】ブラッドリーの父親の葬式 父親が死んだ。三番目の父だった。そのことをブラッドリーは電話で聞かされた。耳にスマートフォンを押しつけながら顔を上げると、晴れでも雨でもない、中途半端な空模様を飛行機雲が切り裂いてゆくのが見えた。
じつの父親は、ブラッドリーが中学に上がる頃に死んだ。敵対組織の鉄砲玉に体のあちこちを打たれて失血死という、なんともあっけない死に様だったが、おなじくらい、あの男には似合いの末路だったとも思う。
身一つで裏社会に飛び入り、たった十数年で独自の犯罪シンジケートと巨万の富を築きあげた男は、その筋ではカリスマとして崇められていたが、人間としては比較的クズの部類だった。ただ、裏も表も、クズほど長生きするというのが定石である。すくなくとも善人よりかはマシな生を送るというのが通説だ。数多の恨みを買いながらも、あの男が五十年以上も生きながらえることができたのは、まさに奇跡というほかない。
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