逝き去りし貴男へ貴男へ
貴男に手紙を書くのは初めてですね。
あの頃は手紙を書くのも届けるのも一苦労。
便箋なんて中々売っていないし、書けたとしても送る手段が限られ相手のいる近くに行く用がある、信頼できる商人や旅人に託すしかない。
その上長旅の途中で紛失したり商売の都合で渡すタイミングが遅れたり、返事は期待しない方が精神衛生上良い位。
手紙に花言葉のような惹句をつけるとすれば「不確実」でしょうか。
それでも人は手紙を書くのです。
相手の為より自分の為に。
そもそも貴男の場合長い間宛先、というか住処が分からなかったですし。
私も修業の為に世界中を旅していましたからもし貴男が私に手紙を書いたとしても届けようが無かったと思えば…あぁ貴男は鏡にメッセージを書けましたね。
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