嘘から出た何とやら 若い魔法使いたちが連れ立ってネロがいる台所にやってきたのは、任務も課題もない麗らかな昼下がりのことだった。
何やら楽しそうなクロエとルチルの後から、ヒースクリフが遠慮がちに顔を覗かせている。
「ネロ。ちょっと聞きたいことがあって来たんだけど、今大丈夫かな?」
「ああ、ちょうどスコーン焼きあがったところだから手はあいてるよ」
「道理でいい匂いがすると思いました。ネロさんが作ってくれるお菓子はどれもおいしいから、今から食べるのが楽しみです!」
「はは、そりゃどうも。よかったら試食につきあってくれないか?話があるなら食べながら聞くからさ」
「やった!」
この三人も気が付いたら随分と仲良くなったよな、とネロは微笑ましくなって目を細めた。
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