そうだわコンビニ行こうかな「おぉい、もう酒が無いぞ」
台所から戻ってきた太子が、中身が空になった缶を軽く振りながら部屋の主に声をかける。
ここは東京、神田町。神田神社近くのアパートの一室が、まさか殿の住処である。築何十年と経った昔ながらのアパートに、同じ神田明神の祭神である大黒天とすくなの三人で、それぞれ一部屋ずつ分かれて暮らしている。大黒天は、国津神の長らしく出雲や時々インドなどを行ったりたりしており、今晩は不在である。ちなみに、すくなの部屋は、時々、常世の国と繋がってるらしい。なにそれこわい。
「む、多目に準備したつもりであったが、もう飲んでしまったのか、早いのう」
「太子がガバガバ飲むからですぅ」
「まあ、キリ良くここでお開きにしてもいいとは思うけど…」
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