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    blue_skypia

    @blue_skypia

    すけべな作品や進捗偶に上げていきます〜
    主に銀魂の銀桂中心

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    バレンタイン銀桂SS

    ・桂さんにチョコを強請る銀時のお話です

    甘い特権


    いつも賑わいのある町だが、今日はいつにも増して浮き足立っている様な感じがした

    何かの記念日だろうかと頭をひねるも答えは出てこない

    まあ何の日であろうと自分には関係の無いものだろう。深く考えるのはやめよう


    …そう、思ったのだが。


    「ん、」

    いつも通りの眠そうで気怠げな表情で、何かを強請るように手を出すこの家の家主

    偶々近くを通りかかったので立ち寄ったのだが、状況が上手く飲み込めない


    『何だこの手は』

    「何って…アレに決まってんだろ。」
    早く寄越せ、と催促されるがまるで心当たりがない


    『生憎今は金を持っておらんぞ』


    「……はぁーー。そうだよなお前そういうの無頓着だもんな。期待した俺が悪かったです〜」

    少しの間を置いて、そう吐き捨てた男はひらりと踵を返して部屋に戻っていく


    一体何だと言うのだ…


    玄関先に立ち尽くしたまま思考を巡らせていた


    ────────────


    別に、俺だってそういうイベント事や記念日にあまり敏感な方ではない

            
    でもさ、仮にもそういう事する仲なんだからさ、ちょっとくらいは期待したって良いんじゃないのかと思う

    いや、まあただ単に糖分を欲してるだけだけど。甘いものが足りてないからこんなにイライラするんだろ。そうだよ元はといえば今日遊びになんてくるからそんな変な事考えちまうんだよ全部全部アイツのせいだ


    なんて、八つ当たりにも程がある御託を頭の中で並べる


    どかりとソファーに座り今週号のジャンプを捲る。
    ラブコメ漫画はここぞとばかりにバレンタインの話ばかりだ

    意中の男にチョコを渡そうと奮闘するヒロイン。あと一歩のところで上手くいかず、挫けそうになっている


    あーあー。俺にもこんな純情な黒髪ストレートの美人な子がいたらなあ


    『…そろそろ、教えてくれても良いんじゃないのか』


    いつの間にか目の前にヅラが立っていた。少しむす、とした様子の表情で

    え、なにお前帰ってなかったの
    もしかしてずっと考えて佇んでたわけ?

    ホントそういうとこ馬鹿真面目というかなんというか…まあ別に嫌いじゃねーけど…って何思っちゃってんの俺


    『……ばれん、たいん』

    ジャンプの表紙にデカデカと書かれた文字を読み上げる桂


    『あれか、おなごが好いた異性にちょこれーとという甘い塊を送る文化か』


    「いやまあ合ってるっちゃ合ってるけど…言い方よ」


    『ふむ…してそれが、何で俺がお前にちょこれーとを上げる理由になるのだ?』

    ふざけてる様子でも、ましてや揶揄う様子でもなく純粋に疑問を抱いてるという顔


    クソ…この鈍感大魔王が。


    「なんでって…仮にも俺たちそういう事する仲だし?貰ったって良いじゃねーか甘いもんを欲してんだよ」

    『俺は男だぞ』
    すかさず答える桂

    「わーってるよ。別に男から送ったって良いんだよ。今は友達とか世話んなった奴に送るとかあるみたいだし、あんま深く考えんな」


    言っててなんだか虚しくなってきた。なんで俺コイツにこんなムキになってんの。今更チョコひとつでどうこうの話じゃねーだろ。第一コイツから貰ったことねーし


    不意に、ソファの軋む音がした


    ヅラがソファに手を付いて俺を見つめる


    『俺が、お前に送るなら』



    『俺も、お前から貰う権利があるだろう…?』


    誘うような、射る視線にどく、と心臓が鳴る


    ソファに乗り上げたヅラの太腿に
    する…と指を這わす



    「へぇ…ヅラくんは何を御所望なのかな?」


    『ヅラじゃない、桂だ』




    ──────────────



    …なんで?


    どういうわけか大江戸マートで調達してきた板チョコを細かく刻む俺


    『銀時、生クリームはこのくらいでいいのか?』

    ヅラはというと紙パックの生クリームをマグカップに並々注いでいた


    「バカヤローお前目分量でやるんじゃねぇよお菓子作り舐めてんのか
    1mlの差で味が決まんだよ分かったらさっさと計量しろ」


    どういうわけか、俺は今ヅラとお菓子作りをしている。
    なんでかって?そんなの俺が聞きてえくれえだよこのヤロー。どう考えてもあの流れはそういう流れだっただろーが。昔から思わせぶりなのは本当に変わらねーなと思いつつ、コイツの頼みを聞いてしまう俺も大概なんだけど


    あらかた準備を済ませてバットに流し入れたチョコレートを冷蔵庫に30分寝かせ、それをラップでくるくると丸めるだけ。材料も少ないし割と手軽に作れるから良いだろと思って俺が提案したトリュフ

    うん、なかなか旨そうだ


    『いつもエリザベスや皆に世話になってるからな。たくさん作った方が良いと思ったんだ』


    さっきまでバレンタインのバの字も出てこなかったクセに───


    『まあそうむくれるな』

    「別にむくれてねーよ」

    なんだか心を読まれたみたいで面白くない。コイツ鈍感そうに見えて変なとこ気付くんだよな


    『ほら、』

    目の前にずい、と作りたてのチョコが差し出される。この歳でアーンってか。恥ずかしい奴

    そんな事思いつつも素直にそれを口で受け取る


    うん、口の中で溶けてくチョコが甘くて旨い

    『旨いか?』
    俺の顔色を伺うように覗き込むヅラ。
    別に可愛いとか思ってねーし。


    「そりゃ旨いに決まってんだろ。俺が教えたんだから」


    『それもそうか』
    納得したように微笑み、ヅラもまた味見にそれをつまむ


    『うむ、流石は銀時だ』
    旨いぞと言いながら次々とチョコを丸めていく


    『一緒に作れば、1番最初に食べられる』



    『お前と、俺だけの特権だ』
    そう言って俺を見つめ、ふわりと微笑むヅラ。
    ああもう、コイツのこういうとこ、ホントムカつく



    「全然こんなんじゃ足りねーよ。
    もっと寄越せ」


    俺も大概素直じゃない。いや、まあ素直になれるくらいならここまで苦労してないんだけどね


    『あいわかった。まだまだたくさんあるからな。』

    そんな事まるで見透かしてるかのように微笑むヅラ



    …やっぱりコイツムカつく


    そんな悪態を心の中でつきながら、
    甘いそれを口の中で転がしていた





    Happy Valentine.


    『甘い特権』
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