『アイアイ傘』
「おれの傘返せ」
だいたいいつも戸締りされていない不用心な玄関ドアをバーンと開くと、口をもごもごさせたルフィがリビングから顔を出したので、ゾロはいのいちばんに要件を告げた。
ルフィとは物心ついた頃から家がお隣同士で、幼稚園、小中学校、高校に至るまでずーっと一緒の幼馴染という間柄である。
ゾロが高3でルフィが高1。ふたつ違いなので、ゾロが中学に上がった頃から一緒に登校する機会はめっきり減っていたけれど、今年はまた同じ制服を着て一緒に通える。
けれど今日はゾロに野暮用があり先に行きたいのだが……。
「ごっくん。ゾロおはよう! 早ェじゃんか」
「おはよう。おれの傘どこやった? この前貸したよな」
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