とじくん激おこ「な〜お〜や〜く〜〜ん♡ お、いた。 はい、久しぶり久しぶり」
玄関扉の開く音。家主である五条悟が帰ってきたのかと思い、顔だけを起こして目をやると、予想に反してそこには甚爾がいた。さながら呪霊のように、ドアの隙間からひょっこりと顔を出し、目をかっと開いて、顔全体に青筋をいくつも浮かべている。顔の上半分は怒りの色で塗り固められているのに、相変わらず口元にだけはにやにやと不気味な笑みを浮かべていた。
──やっっっばっ、
彼の姿を見た瞬間、脂汗がどっと吹き出て背中を冷たいものが伝った。心臓がバクバクと大きく脈打ち、警鐘をならす。
何故かはわからないが、表情や声色から察するに、甚爾の逆鱗に触れたようである。
1541