事例報告 ある本丸の、一振の刀剣男士の話である。彼は現存しない刀であったが、自身が損なわれる歴史も、元主が死ぬ歴史も心乱すことなく守り抜いた。審神者からは頼りにされ、仲間からの信頼も厚かった。顕現して数年がたったある時、彼は後から本丸にやって来た別の男士と深い仲になった。二振が同じ部隊で出陣した際、彼は敵に狙われた相手を庇って深手を負うが、お守りを所持していたため破壊を免れた。彼は重傷の状態で本丸に帰還した。経緯を聞いた審神者は、直ちに彼を刀解処分とした。
刀剣男士は逸話から生まれる。逸話が発生し、語り継がれてきた歴史を改変されれば男士の存在は脅かされる。ゆえに彼らは歴史を守る。歴史をありのままに維持することは刀剣男士の生存本能であり、我々はその生存本能を利用して歴史を守っているのである。本事例のように、『正しい歴史』以外のために自らの命を危険に晒す男士は、正常な生存本能が備わっていないと判断される。本能の制御を受けない男士の存在は歴史改変の重大なリスクであり、速やかに除去されるべきである。