そこにあった世界2B
眠りが足りた。そんな目覚め方だった。久しぶりにこんなに眠っていたなと春日が目を覚ますと、そこはいつもの自宅ではなく見知らぬ大きなベッドの上だった。
ここはどこだと視線を巡らす。ベッドの自分のすぐ横、隣に寝ている人がいて小さく驚いた。昨夜は誰かの家で飲んでいただろうかと記憶を辿るが、春日の頭には自宅で晩酌を煽って眠った記憶しかない。
そっと身を起こして、隣に眠る人の顔を覗き込むとそこにはよく見知った顔がいた。
なんだ、良かった。趙か……
隣に寝ているのが見知らぬ女性などでなくて良かったと心底ホッとする。女性絡みのやらかしはもう沢山だ。
ここは趙の家だろうか? 記憶にはないが酔っ払って訪ねてきたのかもしれない。家を訪ねた挙句、ベッドにまで潜り込んだのかと申し訳なく思いながら、身体を起こして横で眠る趙の寝顔を見るとなしに見ていると視線に気がついたのか、趙が眠たげにゆっくりと目を開けた。
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