wipみんな急に用事が出来てしまって気まずい午後のティータイムを過ごすことになった旦那とベドの話。
まずそもそもティータイムに参加したくなかった旦那がゴネられて仕方なくやってきたというのに、
一番何話していいかわからない相手と二人にさせられてめちゃくちゃに困る。
旦那もアルベドも早く帰りたいけど、
リサさんが淹れたお手製の紅茶とノエルのスイーツセットを食べきるまで帰れない。
どっちもさすがに状況を打破しようとは考えていて、何か話題を振ろうとする。
「この紅茶は……」
「さっきの……」
たまたま同じタイミングで声が出てしまい、どちらも黙る。
どちらも先にどうぞと目くばせする。そのうちふーっと息を吐いてから旦那が先に声をかける。
「気を遣わなくていい」
「ボクも同じことを思っていた。けれど、この沈黙は耐えがたいかな」
「なら無理やり話題を探すか」
「それもどうかな……」
せっかくどちらも言葉を発せるのに、気の利いた談義にはならなくて詰まる。
午後の日差し。紅茶の湯気。甘いスイーツ。それらだけが部屋を充満していく。
ふとアルベドがクッキーに手を伸ばした時、模様の違うものが混ざっていることに気が付いた。
それは少し、氷の元素が感じられる青いジャムが乗っていた。
旦那の視線もそちらへ向かった。
「それはやめておけ。悪いものが混ざっている」
「……ふふ」
そこから二人はそのクッキーを作った当人の話や、兄弟と兄妹の話をしていた。
手がかかるが可愛らしいだとか。
手がかからな過ぎてまいったこととか。
一番最後に部屋を出て、
誰よりも先に用事を済ませてリサが帰ってきたときには二人はいなかったが、
紅茶もクッキーも綺麗に片付いていた。
「あらあら、楽しい時間を過ごせたみたいね」