蓋が開いたらあいしてる
いつも言っているじゃあないか!
そう言ってゲームに乗り気な幼馴染はなんの恥ずかしさも感じずにそう面と向かって言ってくる
うるせぇ、俺は慣れてねぇんだと心の箱の中で渦を巻いている何かがそう呟いている
「修ちゃんからの、愛してる、聞きたいなぁ」
「こちとらお前さんとは違って軽く言う人間じゃあねぇんだよ」
けぇち、と言って口を尖らせた礼二郎は腕を伸ばして頬を両手で押さえてから、再度愛しているよ、と言霊を呟いてくる
かたり、と箱の蓋が緩む
空っぽの俺がその言葉を口にして良いものだろうか
「そんな事より、別の言葉だってあるだろうよ」
「僕は修ちゃんの愛してるが聞きたいんだ」
じぃっと見つめてくるその瞳は吸い込まれそうな位輝いていて、喉の所まで例の言葉が迫り上がってくる
「愛してる、恋してる、ずっと一緒にいたい」
「それじゃあ結婚するみてぇじゃねぇか」
これは告白をするゲームだからナ!と言って真顔になる礼二郎はやはり美しい
結婚、そんな事言ってくれるな
蓋が、開いて喉から声が
「愛してる」
あいつのきらきらした瞳を見つめてそう言ってやる
喉から出た声は震えた声だった
「僕も、愛してる」
ずっと、ずぅと愛してあげようじゃないか
そう言って唇に柔らかいものが触れた
柔らかいものが離れた後に、耳が熱くなった俺はうるせぇ、と吠えた